13.男泣き
20年間住んでいたおばぁちゃんの話により、焼け跡地は封筒に記載されてた通り、裏野ハイツという住居。そして、そのおばぁちゃん自体が大原あゆみのマネージャーの彼氏の母親だったということ。また大原あゆみは、健の元彼女の明日花による人身事故の影響で、大原あゆみのプロデュースが社長たちによって変わり、そのせいで、整形や麻薬の資金、そして最終的に別な場所で殺害隠蔽され、人気が出たと共に社長たちは逃げた。大原あゆみの彼氏=マネージャーは、愛する人を誰のモノにもさせるべく遺体をあえてバラバラにし、頭部だけを何処かに隠し、自らも命を絶つことで事件を迷宮入りにした。
事件後の裏野ハイツは賑わっていたが、他の心霊現象みないなものはなく、三年後ぐらいには普通の住居として扱われていった。しかしそんな裏野ハイツに不可解な噂が流れで、秩序のない若者たちがネット上に『心霊スポット』という位置付けで、視聴率を稼ぐようになった。有名になるほど不快に感じる人も多く、人権侵害、プライバシーの件から削除されていったが、一人だけそれを守れず、今年裏野ハイツを訪れた。奇妙な声を録音するべく、火の儀式をしてるさなか、ハイツの住人の子供の意思と掛け合わさってしまい裏野ハイツは火事を起こし、跡形もなくなくなってしまったのだった。
そんな跡地を、健と由美は車のライトをもとに歩いている。由美が口にしようとひとまずの溜め息をついた時、健が割り込んできた。健の方からは由美の顔が車のライトによって見えないらしく、目をしばしばさせながら虚ろに確認しながら由美に問いかけた。
「全部、俺だったんだな…」
由美が答える間もなく、呟いていく。
「俺はただ正直に生きてきただけ。何が間違いだったというんだ。男は強く、賢く、たくましく。あぁ、ああっ、めんどくせぇ!めんどくさいったら、ありゃしないぜ!泣く?泣けるか!ふざけんなや、何だよ、何でだよ、俺、男だぜ?なんで、なんで、一人も、一人たりとも満足に生かさせてあげれないんだよ?なんで、涙なんか流して…いる…」
微かに照らす電柱の灯りと車のランプを頼りに、由美はグッと健を抱き締めた。そして軽く収まってしまった身体をさらに収めて、口元に当たる健の心臓のある胸板に向かって叫んだ。
「ここにいる!ここにいるから!私はずっと、健の傍にいる!だから、もっと私に見せて。もっと私を頼りにして!」
それを聴いた健は、男がどうのこうのを忘れて素で泣き叫んだ。
満ち欠けの月が真上にやって来た頃、健の気持ちも何とか落ち着き二人の仲は更に深まっていた。そんな事を感じながら由美は、抱きつく前にどこかの場所でつまづいた事をネタにしながら話した。それを聴いた健はふに落ちなさそうな顔で考えながら、由美の肩を強く揺さぶった。何が悪いのかと思いつつ、記憶を巡らせながら曖昧な場所に指を指す。雲ひとつ空のお陰だろうか、やんわらか明るく照らされた土が少しだけ奇妙に盛り上がっていた。健は由美の影で隠れてる場所も確認するために避けて貰い、健自身も少し離れて観てみた。それは木造建築の跡では無さそうな、何か頭に引っ掛かるものがそこには埋まっていた。
由美はなんだかんだ言ってるのを無視し、健はコンビニに言ってくると告げ、その場に居ることを指示をしてあと車を動かして出掛けてしまった。
突然ポツリと置いてかれた由美は寂しさを感じたが、今は確かなものが胸にあるようで冷たい風に凍えるようなことは不思議となかった。
コンビニに着いた健は目的のモノが見つからず、ホームセンターへと急いだ。




