支払いはご一括で
「あの~」
彩菜ちゃんが、恐る恐るというった体で声をかけてきた。
「なんだね。」
課長は若い子に甘い!そりゃあもう甘い。
けっ。
「請求書を作成したいんですが、お支払いはご一括でしょうか?」
彩菜ちゃんは、最近、信子さまから『請求書作成』という大きな(笑)仕事を引き継いでうれしくて仕方ないのだ。
信子さまがお仕事をくれる=認められたということだから。
あっ、私はね、コピーとスキャナと画像編集を任されました!やった。得意得意。薄い本作る時にも使うスキルだしね。
「あと、皆さんへのお布団の請求書なんですけど、ここで配っちゃっていいですか?」
「は?」
「え?だって倉庫から一人1組、出しちゃいましたから・・・」
ひどい!
そんな~
「彩菜くん、請求書はいらないよ。」
やった、優しい、そうですよね。おごりですよね・・・
と、竹内課長の方をみたらにっこりされた。
「社販で給料天引きだ。」
がが~ん。シビアだな。おい。
「いや~15組の上下+30の掛けの販売か、今日はすごい売り上げだね。」
東さん・・そんなのんきな・・・あの布団、『輸入モノ』だから高いんですよ。とほほ。
「そういえば、通貨が違うんじゃないですか?それに受け取っても会社に入れられませんね。」
「ああ、そうか。ルイスさん、こちらの通貨はどのようなものでしょう?」
見せてもらったものは金貨だけど、金だけではなさそうだ。
これは向こうで換金できないし、そもそも三浦先輩のチートは倉庫からモノを出すなので、こちらからモノを向こうにはもっていけない。
困ったねえ・・・とみんなで頭をひねっていると、信子さまが手をあげた。
「ねえ、宝石で支払うことはできませんか?」
「もちろん可能です。」
にこやかに答える騎士さま。
「では、宝石で支払って頂いて、その宝石を私が買います。ネットに繋がるので私の口座から会社の口座に移しましょう。」
「え?いいんですか・・っていうか布団30ってかなりの金額ですよ?」
「ダイジョウブ。老後の蓄えは完璧なの。数千万の貯金からちょっと出すだけです。」
お局さま・・・怖い~