GENERATION 青と竜(ドラゴン) ACT〇 予期せぬ発端
PASSIONの続編です。まだまだ続きます。
「今度という今度こそ許さん!」若き青年貴族エンヴェルは相手の胸倉を掴んで怒鳴った。「ウトガルド島に行くことは禁じられておるだろう! なのにお主はまたそこへ行き、おまけに今度は有り金全てを無くして――」
胸倉を掴まれた、青年セルゲイはため息を吐きながら、
「ごめんよ。 でもポーカーの相手が悪かったんだ、レ……何とかとかいう優男だったんだけど――すげえ相手で」
「ええい、許さん! 叔父上に今度こそ言ってやる!」
その発言を聞いた途端、セルゲイの顔色が変わった。
「え、ちょ、それは待った! 悪かったから許してくれ!」
「二度と行かぬと約束するか?」
「……」
五分ほど、たっぷり黙ってからセルゲイは言った。
「……分かったよ、約束する。 もう二度と行かないから、親父にチクるのだけは止めてくれ」
ねちねちねちねちと何日もしつこく嫌味を言われるのは、嫌であった。
「よし、信じるぞ!」
無邪気にエンヴェルは笑って――ふと表情を変えた。
「どうしたんだ?」
「呼んでおる……」
彼の眼は、既にセルゲイを見てはいない。どこか遠くを見つめていた。
海の上、ぽつんと浮かぶ小型船を発進させる。セルゲイは、その航路先にイルカの群れを見つけた。
「おい、あれ!」
「あれだ。 余を呼んでおったのは」
船は速度を緩めて、群れに近付いた。
――その中央には、若い男が浮かんでいた。
ルビ、どうやら頑張って慣れるしか無いようです。