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短編集  作者: 華織
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ある科学者

SFなの……か……?(もどき?)

ある科学者が、人間そっくりなロボットを開発することに成功した。

見た目が人間そっくりなところもだが、なんと、驚くことにそのロボットには感情がきちんとあるというのだ。そのロボットは多くの人々から称賛を得たが、一部の人々からは厳しい批判を受けた。


本来ロボットは、人間の生活を豊かにする為に造られてきた物である。

そのロボットが、感情を持つ。

すなわち、ロボットは人間よりも優れた存在になってしまうという訳だ。

人々はいつかロボットが争いを起こすのではないかと日々心配し、科学者に冷たく罵声を浴びせた。


最近では署名を集めているようだが、科学者は全く気にしていないようだった。



ロボットは純粋だった。


道を歩けば困っている人を手助けし、家に帰れば主人の世話を文句一つ言わずに済ませる毎日が、ロボットにとっての日常だった。


それに、ロボットは幸せだった。


例えどんなにこき使われようが、それが自分の生きがいで、存在価値なのだ。


それに、人の役に立つことで、自分がまるで人間になった気がした。


しかし、ある日を境に科学者はロボットに姿を見せなくなった。

ロボットは困惑した。

とりあえず、至るところを探し歩いた。


何年も何年も探し回った。しかし見付からなかった。


ロボットは悲しかった。

なにせ、消えたのは自分を造った人間である。

ロボットは、人間に例えると、両親を失ってしまった時の感情になった。


それと同時に、彼のことは忘れてしまおうとも思った。


また、ロボットは知っていた。

自分の身体にはリセットボタンがあることを。

まさか自分自身で押すことになるとは思ってもみなかったが、ロボットは躊躇(ためら)うこと無くボタンを押した。


*********


例の科学者がロボットを処分したらしいという噂を僕は聞いた。

その科学者のことはわからないが、有名らしい。なんでも人間そっくりなロボットを発明しただとか。

しかし、妙な偶然というのはあるものだなと思った。


その科学者の名前と、僕の命の恩人の名前が全く同じなのである。


僕の恩人は、何年か前に僕が倒れているのを助けてくれた人だ。彼は医者で、あのままだったら僕は死んでいたという。

彼に手術された僕は、全ての記憶を失っており、今は彼の身の回りの世話をしている。


そして今、僕の身体には妙なボタンのような物が付いている。

おそらく、これが手術という物なのだろう。



いつか、このボタンを押してみようか。

僕=ロボット

僕はそのことを知らない。



はたして、ボタンはどこに付いているのだろう。

科学者消えた訳が自分でもわからん。

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