Cap4 unexpectedly
「私は未来に影響を及ぼすことが出来るあなたを改変しようとする分子からあなたを保護する為に未来から来ました。」
…もう一度お願いできますか?ゆっくり。
「少し分かりやすくすると,私は未来の出来事を今から変えることが出来るあなたを悪用して未来を自分たちの思うがままにしてしまおうとする悪い人たちからあなたを守る為に来ました。」
…おいおい…これこそ夢物語か?
それとも…なにかのドッキリ番組か?
「…普通に考えると信じてもらえないですよね…」
いいやとんでもない。信じましょう!…とはいえイマイチ理解できていないのだが。
要するに…綾さんは未来から俺を救うために来たってことで,俺を悪役から守ってくれる…っつう事でしょうか?
「はい!その通りなんですよ!」
その通りらしいが,とりあえずなんで俺なんだ?わざわざこんな一般高校生を狙って襲撃してくる悪役もどうかと思うが。
それに悪役って事はそれなりに戦闘能力があったりしそうなわけで。綾さんが守ってくれるというのは有難いんですが,綾さんが戦うって言うのも想像が沸かないんですが…。
この華奢な体つきで大男みたいな悪役が出てきたらどうする気だろう。
「それは大丈夫です。悪役というのは…今の時代で言うとコンピューターウィルスのようなもので,それ自体に対した能力はありません。問題なのはそのウィルスが人に寄生出来るということです。寄生した後に増殖なんてパターンは無いですが,その寄生された人が何をしだすかは分からないので…その対策の為のワクチンはしっかり学んでありますので。」
…とりあえずこの夢物語が本当なのだとしたら俺はなぜそんなのに狙われるようになったんだ?
この前5000円札拾って交番に届けなかったからか?
「そんなんじゃありませんよ〜。ただあなたには決まっている未来を変える力があった。それだけなんです。」
5000円は関係なかったか。
それより,俺がそんな能力を持っているなんて言うのも信じがたい。
「確かに信じがたいかもしれないですよね。でも本当なんです。」
そう言うと俺の肩にポンっと手を置いて
「この前肩に触れさせてもらったとき抗体をあなたに送信したからあなた自体はウィルスに侵されません。それからウィルスでまだ寄生していなかったものは全て駆除しました。まだわずかにですが反応があるので安心とは言えないんですけど…」
そんな抗体なんてものが俺の中にいるんですか?あのときの肩ポンにここまで理由があったとはね。
にしてもだ…この話を信じたとしたら彼女は未来人ということになる。
とりあえずこのまま信じるのもあれなので質問もしてみようじゃないか。
「えっと…綾さんは未来から来たって事になりますよね?」
そういうと彼女は首をやや傾けてはいとだけ答えた。
「じゃあ…どれくらい先なんですか?今から見て。」
そういうとポケットからこの前道を教えたときに持っていたメモを取り出した。
そういえばそれは地図とかではなかったんだな。
「どれくらい先なのかはいえません。私には権限が無いので…」
なるほど…じゃあ…
「俺がどんな影響を与えるんですか?」
「ごめんなさい…言えないんです…もしあなたがそれを知ってしまうとあなたは無意識にその事を意識してしまって未来は余計に変わってしまいます。」
「そういう事とかは言ってもいいんですか?」
「マニュアル上で定められてる範囲なら…もちろん私もたくさん教えてあげたいんだけど…」
とにかくだ。
彼女の言い分はこうである。
彼女は未来から来て俺を悪の組織から守るために来てくれた。
俺は未来を変えられる。
恐らくだがその寄生するウィルスがこの時代からいなくなれば任務完了。
そういうわけであろう。
「はい。そうです。…信じてもらえないでしょうね…。確かに私もいきなり言われたら焦りますよ。」
ちなみに俺は焦るどころかもう平常心なのだが。
「とりあえず心の中で信じておきます。他の連中にはもちろん内緒で。」
そう言うと彼女はまた天使スマイルを俺に向けて良かったと息のように漏らすともう帰らなくちゃと言うとこちらに手を振りながら俺の家の反対方向に歩いていった。
…未来人ねぇ…。
そういえばメルアドくらい教えてもらっておいても良かったんじゃないかな?
この時代の携帯を持っていればの話だが。




