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Cap1 encounter with…

その少女を見たとき俺にはゲームでしか喰らったことの無い一撃を不意に喰らった気がした。

どう見ても美少女。褒め過ぎって事は無いぞ。髪はストレートに肩下くらいまで伸び,細い体つきと整った容姿がより一層その美貌を際立たせていた。その辺の女子だって一部唖然,その他キャーだの騒いでる。

男子は一部興奮状態,その他直視などなど…。要するに教室全員が見入っているわけで。

もちろんその中に俺も入ってる。

その美少女は教室をぐるりと見渡す。

俺のこともちゃんと見たかぁ。

…なんて言ってる場合ではないな。

後ろの席にいる内田も珍しく目を丸くして直視していた。

内田は背が低く未だに小学生でも通用しそうな体つきでよく本を読んでいる。高校に入ってからたまに話す機会もあったが,本を読んでいるためかたまに難しい用語も使用する。

「……」

黙り込む内田の目は真っ直ぐにその美少女を見ている。

おいおい一目惚れか?

そして担任の咳払いが教室に 静まりなさい という命令を発した。

「それじゃあ自己紹介お願いね。」

あっさり言った担任の言葉よりもその美少女の第一声のほうが重要だ。古典なんかの授業よりも大事だ。俺が思うに。

「ぇ〜…浅川 綾。」

…綾ちゃんですか〜…へ?終わり?

少しの沈黙を打ち破り担任がそれだけかと尋ねるも

「何か口を滑らせると…」

その後も何か言っていたように聞こえるがさっぱり聞き取れなかった。

俺の聴覚に全神経を向かわせたにもかかわらず聞こえなかったんだからしょうがない。

「それじゃあ私がある程度みんなに言っちゃっていいかしらね?」

そう言って一歩前に出た担任がその綾さんのコクリと頷くのを合図に代理自己紹介を始める。

しかしその頷く仕草から見てもう可愛いのなんの。クラスの男子半分はやられたなこりゃ。

「ぇ〜…浅川 綾さん。16歳,親の理由により転校,好きなものは楽しいこと…」

なんじゃそりゃ。楽しいこと?カラオケでも好きなのかな?それとも天然気味なのか。

もちろんそこへの質問はクラスから沸くわけで。クラスの中の女子が質問した。

「それって…例えばどんなものなの?」

すると綾さんは困ったような顔をしながらも,楽しそうに

「例えば…誰も知らないような異郷の地に足を踏み入れたり,未来にまで名前が残るような偉大な…」

すごい人だ。たぶん何かのアニメか小説を読みすぎたのだろう。そうに違いない。

しかしこんなに美少女な綾さんの口から自己紹介で異郷の地だなんてワードが出るとは思わなかった。

というかこのクラスの誰が予測できたか。出来た奴がいたらそいつは超能力者だ。

そんなわけで俺が,というか俺の五感そのものが捉えたこの”何か起こるぞ”的な予感は後々人生で初ヒットするなんて誰が予想できたか。

予想できた奴は超能力か何かの持ち主だ。

こんな前触れからその綾さんとの高校2年の白紙のページが書き始められたのであった。

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