Cap0〜プロローグ〜
これから先のことがわかっていればどれだけ簡単に行動が出来るだろう。
そう考えたのは何もこの広い世界で俺だけじゃないはずだ。
なんせこの世界には数え切れないほどの人がいる。数えられるとしたらそいつは神だ。賞状でもあげたいね。
そんな人がたくさんいる世界に居座るようになってから16年が過ぎた。
今や俺はどこにでもありそうな私立高校の昼寝シート兼机にもたれながら座っている。
今日から始まる2学年。高校生活が始まってからの1年間はとにかく何もなかった。
そりゃ体育祭やら文化祭やら…イベントはあったさ。もちろんそれなりに楽しんだ。
だけどこう…何か嫌でも忘れられないような強烈な一撃がまだ高校生活には無い。
と言っても今までにもそこまで痛烈な一撃は喰らってはいないんだが。ゲームでしか。
それにしても今日から始まった学校はやたら新鮮味もあり,周りにいるクラスメートも懐かしく思える。
そんなに長く会っていなかったわけじゃないのだが。春休みなんて夏休みに比べたらあっという間さ。
もし未来が分かるならこの先俺が卒業できるか留年するかも分かるだろうに…。
そんな事を考えてることが分かったのか横の席に座って春休みボケがまだ残っていそうな奴が話しかけてきた。
「お前はまだ自分の将来が見えたらいいのになぁ。なんて夢物語を想像していた。どう?当たりだろ?」
別にお前に指図されなくても夢物語だって分かってらぁ。
そういうと俺はさっさと新品の教科書をロッカーに押し込むために席を立った。
先ほど俺の考えを見事に当てた金本はいつも俺の考えが分かるのか知らないがそんな感じで話しかけてくる。
…夢物語ねぇ…。
ロッカーに教科書をしまい終えると丁度始業のベルとともにいつでも時間厳守の担任が入ってきた。
一人の少女と一緒に。




