第8話 ヴェルデのはなし(1)
星になった?そんなわけないじゃないか。
「耐久力上昇!」
キンッと音を立てて、矢はオレに敗れた。
下級魔法。こーんなこともあろうかと、コトカゲ退治の前に覚えておいたのだ!あの時使わなかったのは、完全に忘れていたかあらである!
「んなっ!私の矢をはじくなんて!まおーの十傑を一人首ごと一撃でぶっ飛ばしたほどの威力なのに!」
まおーの十傑?なんだそりゃ。
まぁいいや。
「説明しよう!なんでオレがお前の矢を下級魔法なんかではじけたかをな!」
ヴェルデは息をのんだ。
「オレにもわからん!」
ヴェルデはずっこけた。
なんでオレがあんなに速い矢をはじけたのだろう。
ヴェルデからは、確かな殺気が感じられた。
五日後。やっとのことで下水道のスライムを倒したオレは、同じくやっとのことで機嫌を取り戻したヴェルデを連れて、アザレアの家に向かった。
久しぶりの外だ~!
大通りを歩いていると、見ず知らずの住民にがこちらをちらちらとみてきた。
後ろを振り向くと、ヴェルデがフード代わりのマントを会った時より明らかに深くかぶっていた。
不思議なこともあるものだ。いまさら言うのもなんだが。
アザレアの家は、アパートの一室だ。この世界でアパートというかはわからんが。
ドアをノックすると、案の定元気なアザレアの声と、張本人が出てきた。
「どちら様…ですね」
「なんだそりゃ」
アザレアは後ろのヴェルデに気が付いたのか、声を上げた。
「なんだ?どうしたアザレア?ヴェルデか?」
アザレアは明らかにあわあわし始めた。
ヴェルデがオレの袖を引っ張る。
「アザレア、一回待ってくれ」
オレはあわあわしているアザレアを押して、無理矢理部屋に押し込めた。
オレより一回り二回り背が小さいヴェルデは、マントを本来の役割を果たすところに下げると言った。
「シュン…さん。実は私…極度な人見知りで。十傑の一人を倒した報酬をまだ受け取りに行ってなかったり…するんですね」
オレは首を傾げた。
「そんな人見知りが、なんで下水道の時にオレに話しかけられた?」
ヴェルデは小さくなっていた。
謎は深まるばかり…。
「優しそうだったんで…」
ヴェルデの声は、虫眼鏡を当てても聞こえないほど小さかった。
オレが、優しそうだったんだって~!かわいいところもあるな~!顔以外で。
そして沈黙。気まずくなった。
因みにオレは、この一部始終をこっそりドアの隙間から覗いているアザレアには気づいていた。
美少女(設定では)二人に囲まれたシュン。
やっぱそろそろR指定したほうがいい気がしますなぁ…




