第11話 ラックの話(1)
ギルドでは何の成果もでなかった。
強いていえば人生初スキルの敵探知をゲットしたくらい。
ラックを見つけるためには必要なスキルだが、一連の出来事で飲み仲間に不審な目で見られた。
ギルドを出てすぐ、敵探知がビンビンに発動した。
「いる!」
ヴェルデがマントを深くかぶる。(よく考えたらよくわからない日本語だなぁ)そこに、俺がお世話になった鍛冶屋のおじさんが走ってきた。
「助けてくれ、シュン!お前のパーティーメンバーがワシの家で暴れているんだ!」
パーティーメンバー…?
アザレアじゃないか。ったく。人騒がせなやつだ。
「わかりました。おじさんは待っていてください」
オレは相変わらず無言なヴェルデをフルシカトして、鍛冶屋に走る。ヴェルデがマントを額押さえながら走ってきた。…だから!どーゆー日本語!?
鍛冶屋に着き、木の窓から中をのぞいた。
そこではアザレアが暴れていた。
「おいアザレア。また弁償案件になるからやめてくれ」
アザレアはこっちを不気味な笑顔で見てきた。
「お前がシュンか…。噂に聞いたぞ。また天から恵が…ってな」
こいつ、アザレアじゃない!
ヴェルデも気づいている。
そうか、こいつが…!
「気づきましたね。私がそう!ラックです」
ラックを名乗ったアザレアは、みるみるうちにスーツを着たスタイリッシュな男になった。ラックは、目を布で覆っており、口が裂けているかのような、整った笑みを浮かべていた。
「ヴェルデ、誘導だ!街の外に…ヴェルデぇ!?」
振り向いたがヴェルデはそこにいなかった。
なーんで十傑相手に人見知り発動するかなぁ?
「…おいラック!うちの狙撃手はいないが、オレがお前に!気になったことを聞いておこう」
戦闘態勢になったラックだったが、オレの一言でなぜか固まった。
「なんだ、恵よ」
「お前…」
オレはラックが目に巻いている布に指をさす。
「前見えてんの?」
ラックは複雑な顔をしている。
迷っている。攻撃すべきかツッコむべきか。
オレはその様子を平然と眺める。
しばらく沈黙が続き、やっとラックが動いた。後ろに向かって…ダッシュ!
「逃げたぞ、あいつ!」
ラック、逃走。見失ってまた変装されると困る…!とりあえず、鍛冶屋の横の路地裏にいたヴェルデを、おじさんに引っ張ってもらい、それをオレが捕まえて追いかけた。何とも…アホらしい!!
遅刻!
すんません




