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羽ばたく小鳥は猫とゆく  作者: 久遠 聖
プロローグ

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28/63

25

ハーッハッハッハ!!

小鳥は出てた翼を仕舞い、上着や防寒着を来てゆく


仕舞う理由は単純、里に入った時に羽が戻ってるとばれたら次こそは完全にもがれると思ってる、トラウマだ。

「それでも、ことりは片翼で飛ぶんです…!」っと決意はしながらも何度か深呼吸をして、洞窟をでる

ここから先は里に向かう森の中

小鳥の里は有翼人種の里、森に入ればすぐにバレる。

 森は朝靄に沈み、風は枝葉のすき間でひそやかに囁く。

小鳥は洞窟の影から一歩、また一歩と踏み出し、羽を完全に背中へ畳んだ。

布の下で羽軸がきしむ。治った片翼が息苦しそうに押し隠される。


袖を強く握りしめる姿は、まるで胸の奥の震えを押し止めるようで。


「……次は、全部もがれる。」


その恐怖は生々しい記憶として骨に刻まれている。

あのときの痛みを思い出すだけで背中がひりつく

 

翼は誇りであると同時に、弱点でもあった。


深呼吸をひとつ。

息が白く、震えはほんの少しだけ収まる。


「でも、小鳥は飛ぶんです。

 痛くても、怖くても……。

 黒猫さんがいて、小鳥もまだ、生きてるから。」


声は細く、それでも明確な意思を帯びていた。


里の森は有翼人種の縄張り。

ひとたび踏み込めば、羽の匂い・魔力の癖・足音の軽さ―

どれを取っても 同族 に見抜かれる。


黒猫は前を歩き、木漏れ日の道を無言で進む。

小鳥は半歩遅れてついていき、時折森の奥に視線を投げた。


羽根のある者は風を読む。

今、この森の風にはわずかに 「監視」 の匂いがある。


ひゅう、と木々がしなる。

地上よりも高い視点――木の上、或いは空。


小鳥は肩をすくめ、防寒着の襟に顔を埋めた。

「……見てますね、誰か。」


黒猫は立ち止まり、振り返らず言う。


「進むか、戻るか。選べ。」


小鳥は迷わなかった。

震える声でも、芯は揺れない。


「帰ります。

 翼を、取り戻しに。

 この片翼で、ちゃんと。」


森の中へ踏み込む足音は、二つ。


その奥にいる同族が牙を剥くのか、

それとも新たな風が吹くのか――


次の瞬間、風が枝を裂くような音が響き、

上空から何かが降りてくる。


それは同族か。監視者か。

あるいは、奪う者か、変える者か。


上から羽音と共に声が降りてくる

「よー!シエル!帰ってきたんかー?」っと10代後半の男の子が言う

「ちょっと!アルヴィン!速い!」その後ろを別の子が着いてくる


「2人とも、久しぶり、ギルド登録するための手続きに帰ってきたんだよ!」

少年はアルヴィン、もう1人はヒバリ。

シエルの幼なじみであり、度胸試しのぼろ橋で1番やんちゃをしてた3羽

 シエルはぎこちなく微笑みながら、防寒着の襟を少し引き寄せる。

「うん、久しぶり…!アルヴィン、ヒバリ……相変わらず元気そうだね」


アルヴィンはにやりと笑い、手を大きく振る。

「おう!お前の片翼、見せてくれー!」

シエルの背中は羽を隠しているため、ほんの少し肩をすくめて視線をそらす。


ヒバリはくすくす笑いながら、ちょっと離れた場所で様子をうかがう。

「……シエル、大人っぽくなったね。あの頃の無茶な雛鳥はどこ行ったの?」


シエルは小さく肩をすくめ、指先で上着の裾をつまむ。

「……まだ、無茶はしますよ。でも、守られすぎないようにって、自分で気をつけるんです!」


黒猫は後ろから静かに2人を見守り、半歩前を歩くシエルの背中を目で追った。

(まだ背中に触れることは許されない……それでも、あの片翼が、彼女の意思を支えているんだな)


ファルカがまた声を張る。

「なあなあ、ギルド登録って、どうすんの?手続きとか、めんどくさくないか?」


シエルは肩越しにちらりと黒猫を見て、ちょっと自信なさげに笑う。

「……黒猫さんが一緒に来てくれるから、大丈夫だと思います」


ヒバリがついににやりと笑い、シエルの背中に少し近づく。

「そっか、でも……昔みたいに俺たちと一緒に橋で遊ぶのは無理かもな」


シエルは頬をほんのり赤くして小さく笑い、羽をぐっと背中に押し込みながら答える。

「ええ、でも……その分、ちゃんと飛べるように、準備はしてます」


その言葉に、アルヴィンもヒバリもふっと笑みをこぼす。

黒猫はその横顔を見つめ、胸の奥で何かが柔らかく揺れるのを感じる。

まだ知らない、これから起こることの数々を、少しずつ受け入れる予感が漂う――。



不意に2人は真剣な顔をしてシエルに「お前の翼もいだ奴、今とんでもねーことになってんぞ」「いわゆる呪い返しってヤツでね、シエル最近何かやったの?」っと2人は聞くが

シエルがやったことなど、片翼の再生だけ…はて??と思う


黒猫はあぁ、あの時の魔法陣のヒビか…と思ってる


 シエルは問いに答えようとして、けれど喉の奥で声が途切れた。

羽を仕舞った背中が、かすかに震えている。


「……最近?」

唇が小さく動き、シエルの視線は思わず黒猫へと向く。

彼の眼は静かで、しかし真実を知っている者の色を帯びていた。


アルヴィンが一歩、前へ。

さっきまでの柔らかさとは別の、年齢以上に鋭い目つき。


「シエル、隠すなよ。お前の片翼をもいだやつ――

 今 家に籠ったまま、夜ごと苦しんでる。

 何年も平気だったのに、今になって急に、だ。」


ヒバリも続いた。

口元には笑みが残っているのに、声は低く重く響く。


「皮膚が裂ける、血が滲む、背中が焼けるように痛むらしい。

 もう飛べもしないのに、幻肢が疼くって泣いてるって話だよ。

 ……まるで、翼を引きちぎられるみたいに、ね。」


シエルの指先がぴくりと揺れる。

胸の奥で、遠い記憶の痛みが蘇る。

あの瞬間の息が詰まるほどの激痛、骨の軋み、ちぎれる音。

思い出すだけで呼吸が浅くなる。


「小鳥は……なにも、してません。

 ただ……片翼の再生を、しただけです。」


声はかすかで、自分に言い聞かせるようだった。


その言葉にアルヴィンもヒバリも一瞬だけ目を丸くする。

そして――黒猫は確信する。


(やはり、あの魔法陣のヒビか。

 呪いは強くかけるほど、同質の力で揺らぐ。

 "生きる"方向へ魔力を流したことで、呪いが逆流し始めた。)


黒猫は低く呟くように言う。


「お前は呪いを破ろうとしている。

 自覚がなくとも、体が進んでいるんだ。」


シエルの目が揺れ、胸に手を当てる。

再生を終えたばかりの片翼が奥で疼くように熱い。

――あの夜、自分を抱き止めた腕の重みも、まだ覚えている。


「じゃあ……」

彼女は小さく問う。

「小鳥が生きようとするだけで、あの人は苦しむんですか?」


アルヴィンもヒバリも言葉に詰まる。

黒猫の沈黙は肯定にも否定にも聞こえた。


森の風がざわりと枝を撫で、

隠した羽の影がシエルの肩に落ちる。


――罪でもない。復讐でもない。

ただ自分を取り戻そうとしただけなのに、世界は繋がってしまう。


シエルはそっと息を吸い、決意の色を瞳に宿す。


「……いいえ。それでも小鳥は飛びます。

 誰かの呪いの中で生き続けるためじゃなく、

 自分のために。」


その横顔を、黒猫は静かに見つめた。

胸の奥で何かが、ゆっくりほどけていくような感覚と共に。


――まだ旅は終わらない。

ここからが本当の帰郷だ。

笑う少年2人


 シエルの返答を受けてもなお、アルヴィンとヒバリの顔には暗さはなかった。

むしろ晴れ晴れとしたような、肩の力が抜けた少年らしい笑み。


「いや、自業自得だろ?あのジジイの。」

アルヴィンは肩をすくめ、木の幹に背を預ける。


「過ぎたるは及ばざるが如しってさ、長老たちも言ってたぜ。

 才能あるやつに嫉妬して呪いかけて、そのまま生き延びるなんて虫が良すぎる。」


ヒバリも頷き、くすくすと笑う。

その声音は軽やかだけど、言葉は容赦がない。


「そうそう。この世代で一番強かったシエルに呪いをかけて、

 自分だけ涼しい顔で過ごして来た――そっちの方が怖いって話。」


「むしろ今のが自然。呪いなんていつか返るもんだしね。」


それから2人はシエルへと身を乗り出し、


「君だけにか?」

「そう、黄身だけに!」


と声を揃えた。悪戯っぽく、楽しげで――

けれどその瞳に宿るのは紛れもない 愛着 と 誇り。


"翼をもがれても帰ってこれた仲間"

"そしていつかまた飛ぶと信じていた幼馴染"


笑いながらも、その想いは確かだ。


シエルは一瞬だけ瞬きをして、胸が熱くなる。

傷つくための言葉じゃない。

弱さでも痛みでもなく――「生きて強く戻った彼女」への評価。


黒猫はというと、横で静かに様子を見ていた。

無言だが、その目の奥にかすかな変化がある。

荒んだ過去を持つ男が、

こんな風に笑う若者と、小柄な少女と並んで立っている。

それはいつの間にか、当たり前になっていた景色。


アルヴィンが声を上げる。


「里の手続きは長老達のもとだな!

 シエルの帰還祝いくらいはしてくれるだろ!」


ヒバリが羽根の生えた肩を叩く仕草だけして、軽くウインク。


「帰って来たんだ。楽しもう、片翼でも。」


森の道は里へ続く。

その先で誰が待つか――まだ分からない。


だが三羽と一匹――いや、黒猫と小鳥――

もう後ろは振り返らなくていいほどに歩いてきた。





 アルヴィンは頭の後ろで手を組みながら進む「そういやシエルの羽、どこまで生え揃ったんだ?」っと聞いてくる

 シエルは一歩、黒猫の横で歩みを揃えたまま、

ファルカの問いにわずかに肩を竦め――照れとも不安ともつかない息を吐いた。


「……まだ全部じゃないよ。

 でも、形はちゃんと戻りつつあるの。ほら――」


上着の裾を片手で押さえ、背に意識を向けると

ばさり と衣服の内側で羽根が震えた音が鳴る。


外には出さない。

今はまだ、隠すことが生きる術だから。


それでも、羽根は確かに 生きている。

もう「もがれたままの鳥」じゃない。


ヒバリが目を細める。


「でも前より音が重いね。

 前はもっと…紙みたいに薄かった。」


「そう。今はね――風を掴めるくらいの強さになってる。」


シエルは笑うでもなく、誇るでもなく、ただ事実だけを言った。

けれど声の奥底にはかすかな震えがある。

再び広げた翼の痛みと、戻ってきた重さを噛みしめるような響き。


アルヴィンは口角を上げ、軽く肘で小鳥をつつく。


「じゃあ、そのうち飛べるな。

 前みたいに木の上から飛び降りて、俺たちをビビらせてくれよ?」


「あはは……わかんないよ。

 本当に飛べるかどうか、試したことないし。」


黒猫は無言でその横顔を見つめている。

昨夜、暴れる身体を抱き止め、布越しに声を殺した少女の姿――

それを知っている男だけが持つ沈黙。


生きるためにもがき、痛みに耐え、羽根を取り戻した。


その重みを、黒猫だけは理解している。


ヒバリが前へと跳ねるように歩き、


「生え揃ったら、里の外れの風道かざみちで飛ぼ!

 僕も手伝う! 落ちてもキャッチできるから!」


「落ちないよう努力するよ!?」

シエルは目を丸くしつつも、笑いをこぼした。


その笑みは――

黒猫が旅の途中で見続けてきた、

ひどく無防備で、ひどく強い光。


森の奥、風の通り道のような薄明かりが差す。

羽を隠した少女と、黒猫と、幼馴染の二羽が並んで歩く。


翼はまだ完全じゃない。

だけど――確かに前より大きい。


 それに、とふたりして

「俺/僕たちは

何度巣から落ちても翼があるから空を目指すんだろ?」

アルヴィン「誰かに、飛べ!って言われて飛ぶわけでもねーしさ」

ヒバリ「そうそう、飛ぶ位置、高さなんて僕たち自身が決める事だよ」


<風を読んで、呼んで自由に飛ぶのがいちばん楽しいんだから!>


それは昔、翼があったシエルが二人に言った言葉…

鳥はなぜ飛ぶのか、飛ぶ義務があるからじゃ、ない…翼があるから飛ぶのだと


 シエルはふと立ち止まり、背中にそっと手を当てる。

片翼はまだ完全じゃないけれど、風の感覚は覚えている。


 そよ風に髪が揺れる

「……そうだね、私も、翼があるから飛ぶんだね」

小さく呟いた声に、ほんの少しだけ誇りと決意が混ざる。


アルヴィンとヒバリは笑って、軽く肩をすくめた。

「じゃあさ、飛べるようになったら一番高く飛ぶのは誰だと思う?」

「ふふ、そりゃあシエルだと思うよ?」

「いや、俺も負けねーぞ!」


笑い声が森に溶けていく。

風が頬を撫で、枝の間から光が零れ、雪が微かにきらめいた。


黒猫は少し離れて、無言で二人とシエルを見つめている。

心の奥で、静かに思う――


(俺はもう……………………

でも、あの子たちは…自由に、翼を信じて空を目指せるんだな――)


森の中、雪道を進む三羽と一人。

それぞれの胸に抱えた過去や痛みを背負いながらも、

今はただ――風が吹く方向に、進むだけ。


シエルの片翼はまだ完全じゃないけれど、

その胸の奥では、再び飛ぶ自分を信じる火が小さくとも灯っている。


アルヴィンとヒバリの声が、再び空に届くよう

「さあ、次は誰が飛ぶ番だ?」 


黒猫「なぜ空を飛ぶ…か…お前たちは義務では無く、自分たちの意思で飛ぶんだな…」

 シエルはゆっくりと振り返り、片翼を小さくバタつかせながら答える。


「義務じゃないから…だから、飛ぶんです。怖くても、痛くても、やりたいから…」


アルヴィンとヒバリはその言葉にうなずき、笑みを交わす。

「それが、僕たちの翼の意味、だと思うよ?」

「そうそう、飛ぶために生まれたんだもんな!」


黒猫は少し離れたまま、視線を少し下げる。

(あの子たちは、自分の意思で…)


森の木々がざわめき、風が雪を舞い上げる。

シエルは胸を張り、片翼でも力強く地面を蹴る。

雪に残る小さな足跡と、かすかな羽ばたきの跡。


「ねぇ、黒猫さん、私…もうちょっと、飛べそうな気がします!」

片翼でも感じる、風の手応えと自由の予感。


黒猫はただ頷く。

(なら、せめて俺は、この子の背を守るだけだ――

飛ぶのはお前自身。俺はその影で支えるだけ…)


三羽と一人の影が森に落ちる。

空はまだ低く、冷たい冬の光に包まれている。

だが、彼らの胸には、確かな決意と未来への羽ばたきの感触があった。



 

「黒猫さん、忘れてませんか?私は"いつかきっと"を届けるために黒猫さんと居るんですよ?」


 黒猫は歩みを緩め、少しだけ振り返る。

白い息がひとすじ、冬の空へほどけた。


視線がシエルの方へ落ちる。

その目に宿るのは、驚きでも呆れでもなく――

胸の奥に静かに灯る光を確認したような色。


「……忘れたつもりはない。」

短く、だがどこか温度のある声。


「お前が“ぜったい”と言うなら、俺はその隣にいる。

届くまで、折れぬように。迷うなら引き戻す。

飛ぶ気があるうちは、落ちても拾う。」


シエルの顔がぱっと華やぐ。

まるで凍てつく森の中で雪解けを告げる春が

ひとりの少女の表情で先に訪れたように。


「うん……じゃあ、小鳥は飛びます。

片翼でも、痛くても、黒猫さんと一緒に。」


風がふっと吹き抜けた。

羽毛の白が舞い、黒猫のコートに触れて消える。


「届けるんです。

いつか必ず、黒猫さんへ――

小鳥の“いつかきっと”を全部。」


言葉は静かに、けれどまっすぐ重く。

黒猫はその想いの強さを、息の奥で受け止める。


「……なら、俺も忘れない。

お前の“ぜったい”を、俺が見届ける。」


ふたりは肩を並べて歩き出す。

森の奥、まだ見ぬ空へ続く道を踏みしめながら。


小鳥の翼はまだ完全ではない。

だが、黒猫の隣で伸ばした指先は――

確かに未来へ向け、風を掴もうとしていた。


アルヴィン「そーいや、シエル、お前ばぁちゃんたちに作法教わってねーよな??」

ヒバリ「ぁ!そうだ!シエル、翼誰にも触らせてないよね!?」


シエルは歩みを止め、ふたりの声にぱちぱち瞬きをする。

問いの意図がわからず、首を傾げる小鳥の横で――

黒猫はほんの一瞬だけ眉を寄せた。

ふたりが何を言いたいか、なんとなく察したからだ。


「え、えっと……教わってない、かも。

だって私、ずっと旅だったし……」


 アルヴィンとヒバリの顔が同時に青ざめた。

「「――やっべ!!」」


森に響く声。鳥たちが枝から飛び立つほどの大音量。


「シエル!!誰かに羽触らせた!?」

「特に羽の付け根とか!!尾脂腺のとことか!!」


シエルはきょとんとしたまま、素直に答える。


「……灰でこすってもらいました。

黒猫さんに。……痛かったけど気持ちよかったです。」


その瞬間、


 アルヴィン「うっわーーーーー!!!」

 ヒバリ「終わったぁぁぁあああ!!」


転げ回るように頭を抱える幼なじみ二羽。


「それ完全に求愛の…!」

「しかも自分からやったの!?しかも灰で!?尾脂腺!?それ一番濃厚な……!!」


シエルはぽかんと口を開けたまま固まり、

横では黒猫が目を細め、ただ黙っている。


「……どういう意味なんですか?」


問われたふたりは顔を見合わせ、そして叫ぶ。


「シエル!それプロポーズの前段階だ!!!」

「下手すりゃつがい宣言の儀だよ!?!?!」


沈黙。

森の風が、すぅと抜けていく。


小鳥は赤面したわけでもなく、ただぽそり。


「……えっ、えっ?」


理解できていないのが余計にややこしい。


黒猫はゆっくり目を逸らし、低く息を吐いた。


「……そういう習性だったか、有翼人種…………」


アルヴィンとヒバリは黒猫を見て震えながら続ける。


「シュ、シュヴァルツさん……あれ、ただの介助じゃなくて」

「翼の根元触るのは、家族かつがいか……一生もんの相手っす……」


シエルはようやく意味を理解し、ばさっと肩まで羽が浮いた。


「――――えッッ!!!!?!」


顔が真っ赤に火花を散らす。

手足ばたばた、尾羽まで警戒色。


「そ、そんなつもりじゃ!違うんです!

ただ痛かったから!灰が必要で!!

黒猫さんに変なことさせてないです!!ほんとです!!!」


黒猫はそんな小鳥の慌てぶりを見ながら、

なぜか少しだけ、口の端を緩める。


「落ちつけ。……俺は別に困ってない。」


困ってない――

つまり否定もしていない。


シエルの心臓がさらに跳ねる。

森が静かに、3羽と1匹を見守る。


この瞬間から、

小鳥の「ぜったい」は形を持ち始めたのかもしれない。


 ヒバリ「どうしよ…これ、他にもやらかしてるよアルヴィン…」

アルヴィン「おれ、ばぁちゃんたちにおこられたくない…:(´◦ω◦`):ガクブル」


ヒバリがチラッとシエルを見て「ねぇ、シエル、この人との旅、全部話して、今ここで、事細かに」


 森の空気が急に冷えたような気配――

ヒバリは深刻な顔つきで、まるで大罪の証拠を確認するようにシエルへ向き直る。

アルヴィンは耳の後ろの羽毛が逆立ち、半泣きで黒猫とシエルを交互に見る。


「……頼む、細かく。順番に。

やばい匂いしかしないんだよ。」

ヒバリの声は半分震え、半分覚悟。


シエルは視線を彷徨わせ、黒猫をちらりと見て、

意を決して小さくうなずいた。


「……わ、わかりました。」

生唾をゴクリと飲み込み、まるで今から尋問が始まるかのような面持ちで、指折り思い出しながら伝えてゆく…

アルヴィン フクロウ系猛禽類。外は黒、内側は緑の羽根が所々生えてる。

ヒバリ そのまんま雲雀。青黒い翼。

2人ともオスです

有翼人種は個体により耳にも羽根が生えてる。

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