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矛盾がないように…読んでから投稿してるけど…
誤字脱字あったらごめんね!
焚火の揺れる明かりの中、黒猫は黙々と動く。灰色の煙がゆらりと立ち上り、冷たい夜風に流される。小鳥の作ったスープは湯気とともに香りを漂わせ、焼き上がったボアは焦げ目が香ばしく、口にすればじんわりと体を温める。
片手で弓の弦を確かめ、矢を点検し、斬撃武器の刃先を指でなぞる。熟練の目で細かい傷を見逃さず、手元で微調整を重ねる。夜の森は静かだが、どこかで小さな物音がするたび、黒猫は耳を澄ませ、呼吸を整えて警戒を緩めない。
口元でスープをすすり、ボアの肉をかみしめる。栄養を補給しながらも、目は森の闇を映す。焚火の赤い光に照らされ、影が揺れるたび、すぐに反応できるよう心を集中させる。
小鳥は眠りの中、静かに寝息を立てる。その無防備な姿を横目に、黒猫は微かに喉を鳴らす。守るべきものがそこにあるという確かさが、重い夜を越える力となる。
夜はまだ長い。しかし、朝が来るまで、黒猫は火の側で、静かに、そして緊張感を失わず、警戒と備えを続けるのだった。
夜が開ける…そんな時間に小鳥がモゾモゾと動き始めた
「ん…?」っと近寄ってくる
小鳥の瞳はまだ眠たげで、柔らかく半開きのまま黒猫を見上げる。
「ん…まだ暗い…?」小鳥はくすぐったそうに伸びをしながら、眠気を残した声で尋ねる。
黒猫は焚火の残り火を見つめながら、低く静かに答える。
「起きるにはまだ早い。森は冷たいし、朝の警戒もまだだ。」
それでも小鳥は、もぞもぞと毛布をくぐり抜け、黒猫に近づいてくる。柔らかい足音もなく、自然と彼の側に寄る。小さな手が袖に触れ、肩にそっと寄り添う。
黒猫は一瞬、息を止めるようにその仕草を見つめ、瞳の端で小鳥の寝癖混じりの髪を追った。
「…お前は、本当に寝起きでも元気だな。」
小鳥はぼんやりと目をこすり、くすぐったそうに笑う。
「えへへ…黒猫さん、朝ごはんまだですか?」
火の赤みが残る焚火の光に、小鳥の笑顔が温かく揺れる。黒猫はその微かな光景に、静かに肩をすくめ、煙草の灰を落とす手を止めた。
「…その前に、まずはもう少しだけ寝てろ。」
けれど小鳥は、ほんの少しの間だけでも黒猫のそばで、朝の冷たい森の空気を感じながら、柔らかく安心した表情を浮かべるのだった。
小鳥はまだ半分夢の中のような声でつぶやきながら、毛布をぐるりとシュバルツの腕ごと引っ張る。
「小鳥は片腕無くしたことないです、無いですが…里の人が朝晩のひえが染みるって言ってたんです…なので、小鳥はあっためます」
その言葉と仕草に、黒猫はしばし動きを止め、瞳を細める。無骨な手つきで毛布を整えながら、静かに小鳥の腕を包み込むようにする。
「…ふん、そうか。なら、温めてやる」
小鳥の小さな体は、毛布越しにさらに柔らかく包まれ、腕から肩へとぬくもりが伝わる。まだ眠気の残る瞳が、ふわりと黒猫を見上げる。
「えへへ…黒猫さん、温かい…」
黒猫は口元にかすかに笑みを浮かべ、肩越しに森の薄明かりを見やる。焚火の赤が二人の影を揺らし、朝の冷たい空気と、温もりが同じ焚火の周りで混ざり合った。
「…お前は、本当に…ずるい奴だな」
小鳥は寝ぼけた声でくすぐったそうに笑い、毛布の中でさらに体を寄せる。黒猫の心は、いつの間にか静かにほどけていく。
森の朝はまだ眠たげに白く霞み、二人だけの小さなぬくもりが、その場を優しく満たしていた。
1度起きてから微動だにしない小鳥をたまに観察しつつ過ごしていればあっという間に空が白くなってきた…
小鳥を起こす黒猫
「朝だ、起きろ」
小鳥はふわりとまぶたを開けて、まだ夢の余韻が残る目で黒猫を見上げる。
「ん…朝…?」
声はかすかに眠たげで、体はまだ毛布の中で丸まったまま。黒猫はため息交じりに、毛布ごと軽く揺らして言う。
「起きろ、もう日の光が届き始めてる」
小鳥はもぞもぞと伸びをして、腕ごと毛布に包まれたまま「うーん…」と伸びをする。
それを見て黒猫は、無言ででも目元を緩めて、ほんの少し微笑む──眠りから覚めたばかりの小鳥の無防備さに、今日も守るべき存在の実感を得ながら。
小鳥が完全に目を覚ますまで、黒猫はそっと寄り添い、火の残り香と朝の冷気の中で静かに時間を過ごす。
小鳥の髪は朝日に透けて、白に近いマロングレージュの色が柔らかく赤みを帯び、風に揺れるたびに淡い光を散らす。
ゆっくりと羽を広げるかのように体を伸ばし、深く息を吸い込むと、森の冷たい空気が肺いっぱいに満ちていく。
黒猫はそんな彼女を横目で静かに観察しながらも、声をかけずにそっと距離を保つ。その仕草のひとつひとつが、無垢で真っ直ぐな生の喜びを象徴しているようで、胸の奥に柔らかい温かさが広がる。
「…今日も、無事に行けそうだな」
心の中で小さく呟きながら、黒猫は自分の装備を整え、彼女の隣で歩む一日の始まりを静かに見守る。
両頬を軽く叩き目を覚ます小鳥
魔法で水を出しながら
「黒猫さん、顔洗いますかー?」と聞く
黒猫は少し目を細め、無言で頷く。
小鳥はふわりと笑いながら、焚き火のそばに置いた小鍋から生活魔法で水を引き出し、湯気混じりの水を手に取る。
「はい、じゃあ顔洗いますよー。少し冷たいですけど頑張ってくださいね!」
黒猫は黙って水に顔をつけ、手で軽く拭いながらも、その仕草にわずかな朝の柔らかさが滲む。
小鳥は傍らで微笑み、タオル代わりの布を差し出す。「ふふ、はい、拭いてくださいね。あ、黒猫さん、朝の匂いって少し森っぽいです!」
黒猫は軽く鼻を鳴らすだけで返す。けれど、目の端で小鳥の笑顔を追うその視線は、どこか優しく、静かに満ちている。
「鍋の残りはどれくらいかなーおぉ…思ったより減ってる
黒猫さん、口に合ったんですねぇー!」っとニコニコしながらカバンからバゲットを取り出しザクザク切って行く
黒猫は黙って小鳥の手際を眺めつつ、ほんの少し眉を動かして答える。
「……悪くなかった」
小鳥はぱっと顔を輝かせ、切ったバゲットを鍋のスープに浸しながら、嬉しそうに差し出す。
「やったー!黒猫さんが美味しいって言ってくれると、作った甲斐がありますね!」
黒猫は差し出されたスープ入りバゲットを受け取り、口に運ぶ。口元にわずかなスープの滴が落ちると、彼はそれを気にせずそのままかみ締める。
小鳥はその様子を見て、朝の光の中でふんわり微笑む。「黒猫さん、朝ごはんは大事ですよ!これで今日も無事に旅を続けられますね!」
黒猫は目を細め、ほんの少しだけ肩の力を抜き、朝の静けさと小鳥の笑顔をそっと味わう。
朝食を食べながら
「この先は里の手前までは街道沿いなんです、でもほとんどの村や町は冬支度で補給が出来ない可能性が高いので、ほぼ自給自足になります!
あ、お酒とか調味料は購入出来ますよ、前回もそうだったので!」
黒猫はバゲットをかじりながら、小鳥の話に静かに頷く。
「なるほど……ほぼ自給自足か。補給ができないとなると、食料と火の管理はしっかりしないとな」
小鳥はスープをすくいながら目を輝かせて続ける。
「はい!なので、森の中で取れる野菜や根菜、狩りで得られるお肉はしっかり使います!それに、冬眠失敗してる魔物も、必要なら…ほら、食材になりますし!」
黒猫は一瞬目を細め、視線を小鳥に向ける。
「……お前は相変わらず現実的だな」
小鳥はにっこり笑い、スープの湯気に顔を近づけながら答える。
「えへへ、冬の森では生きるのが第一ですから!でも、ちゃんと味にも気をつけますよ、黒猫さんの好みに合わせて!」
黒猫は少し口元を緩め、無言で小鳥のやる気と朗らかさを眺めている。朝の光に包まれた二人は、次の旅路に向けて静かに準備を整えていた。
はーい、今回も無自覚にやらかしてますね
毛布で包んじゃったよ…それ最大級のプロポーズだよ、有翼人種にとっては…よかったね、寝ぼけてて…




