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魔界転生サイボーグ  作者: 茜蘭


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12/27

100人斬り!(2)

「ひっ!」

 僕はしゃっくりのような声をあげて怯え、恐怖に体を縮こまらせた。殺される! 早速また死ぬ! 思わず目を瞑ったつもりが、瞼がないので視界が閉ざされることはなかった。目の前に斧が迫る。斧が、斧が……あんまり迫らない。あれ? 斧はゆっくりと回転しながら、ゆっくりと近づいてくる。自分の体もややゆっくりではあるが、動かすことができる。なんか妙だ。しかし、どうなっているのかよくわからないが、これなら避けられそうだ。

 右に体をかわすため、左足を蹴りだそうとした。少し柔らかく感じられた地面はぬるりと滑るだけで、靴底にとらえることができない。プールの底を走ろうとしても走れないのと似て、もどかしくその場から移動できない。重力がなくなったような感じで、ほとんど体に重みを感じない。その間も迫りくる斧は徐々に距離を縮めてくる。

 移動できないなら斧を横から叩き落すしかない。これだけゆっくりだと何とかなるだろう。回転する斧の刃先に触れないようにタイミングを合わせて、斧の側面に拳を近づける。うまくいきそうだ。うーん……いや、これ普通に柄の部分を掴めるんじゃないかな。思い直して回転する柄を掴んで握りしめた。回転と勢いを止めるのに多少時間を要したが、問題なく投げられた斧をつかみ取った。

 危機を脱してほっとした瞬間、体に重みを感じ、しっかりと地面を踏みしめ、不思議なスローモーション世界が終わった。

「つ、つかみ取りやがった。……はっ!やるじゃねえか、殺し甲斐がありそうだ」

 斧を投げたやつがなんか恰好よさげなセリフを吐いている。猪だけど。でも今のは何だったんだ。この骸骨ボディの特殊能力? 徐行した時間の中を動ける能力か? いや、自分自身も動きが鈍くなった。どちらかと言うと周りが低速になったんじゃなくって、自分の思考判断や反射が飛びぬけて高速になったと考えるべきかな。どこか覚えがあるような気がするのは、あの記憶、ビルから落っこちたときに起こった、ゾーンに入ったのとそっくりだからか。今は元に戻っているけど、この能力が自由に使えたらこの場を切り抜けられそうだ。でもどうやったらさっきと同じの発動するんだろ。戦闘はまだ終わっていない。っていうか逃げたい。……うん、無理して戦わなくていいよね、戦闘は回避する方向で考えよう。言葉は通じそうだし、ちょっとハッタリでもかましてみようか。

「あー、今の見てたよね。どんな素早い攻撃も僕には届かないし、僕の一撃は気づくより先に君たちを打ちのめすよ。百人くらい余裕だよ。逃げたほうが身のためだと思うよ」

 猪たちはきょとんとした顔で互いを見合わせ、しばらく無言の間をおいて一斉に大笑いしだした。

「ぎゃははは! 骸骨がたった一体で何をしようってんだ。逃げんのはてめえの方だ」

 確かに僕が逃げるのもありだ。猪から素晴らしい提案出ました。では、お言葉に甘えて逃げさせてもらおう。ゲラゲラ笑ってて機嫌よさそうだし。

「え、そう? じゃあ遠慮なく逃げさせてもらおうかな」

 そういって僕はそろそろと後ずさりを始めた。「さよなら~」と小声でささやいて、小さく手を振った。あ、この斧返したほうがいいかな? って、あれ? さっきまで笑っていた猪たちは顔を真っ赤にして震え、こめかみには血管が浮き出ている。

「逃がすわけねえだろ!」「ふざけてんじゃねえぞ!」「何しにきやがったんだ、てめえ!」

 口々に野太い怒号が響き、連中の斧を握る手に力がこもる。前列にいた5体の猪が一斉に武器を振りかざし襲い掛かってきた。ヤバい、再び僕の中に緊張が走る。と、思ったそのとき、猪の動きが止まった。

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