表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

海りんごの悲しみ

作者: 秋葉竹



それらは、海底にあり

それらは、魚の食事ではない

それらは、獣の食事でもなく

それらは、人の食事でもない


なんのために生まれて

なにを求めて生きるのか

そんなことばかり、考えている

考えている、考えている

考えても、考えても

そういう問いに答えはないというのに

運がよかったら、なにかの僥倖があれば

もしかすれば、みつかるかもしれない

まるで龍王に出会える確率みたいな

稀代の聖者と語れる確率みたいな

それらは

朝も昼も夜もなく

考えつづけているという


それらの名もなきいきものの名を

海りんごと云う


お世辞にも

役に立つとは云えず

やっぱり美しいとは云えず

それら海りんごたちは

同種というだけで

仲良くなどできるわけもなく

ただ生きることを

まるで仕事のように

こなす

燃えるような希望もなく

癒すほどの優しさもなく

ただただ永くは生きつづけるがゆえに

なにもかもをみて来た

なにもかもを識った

ただ生きることを

まるで臆病もののように

生き、生き、生き、つづける


それらの身が

かたくなにおのが死をのぞまないかぎり

生き、生き、生き、生き、つづける

まるで悪夢に怯える臆病な怠惰のように

なんども、なんども、なんども、

繰り返し、つづける


逃げることだけに、肯じえず

悲しみの涙を流したとしても

それを



神さえも

知らずひそりと浮き沈む

さだめの外の海りんごたち








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ