8お義兄さまを見つける手がかりを発見しました!
不慣れなため、間違いも多々あると思いますがご容赦ください。
誤字やおかしな表現があれば、教えていただけるとありがたいです。
ますます意識が沈んでいくなか、アランお義兄さまの無事を祈る。
(ひと眠りしたら、ごちゃごちゃした頭の中が少しはすっきりするかしら?)
そう思ったのを最後に意識がストンと落ちた。
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………コンコンコン
控えめなノックの音だったが、静まり返った室内にはよく響いた。
ノックの音で私は眠りから覚め、目を開けた。
横になったまま目を凝らす。室内は暗く、窓から差し込む月明かりでかろうじて時計の盤面が見える。時計の針は12時を指している。
約束の時間だ。
途端に心臓がバクバクと大きく脈打つ。
私はゆっくりと身体を起こすと息を殺し、音を立てないように裸足のままでドアににじり寄る。
……コンコンコン
再びノックの音がした。
扉の前に立ち、できるだけ小さく声をかける。
「だれ? 」
数秒待つが返事はない。ノックの音も聞こえない。
「だれなの? 」
やはり返事はない。
私はゆっくり60まで数えるとノブを握り、扉を細く開いてみた。
ドアの前に警備兵がいれば声をかけてくるはずだ。しかし声をかける者はだれもいないようだ。もう少しだけ扉を開く。
扉の隙間から慎重に左右を確認するが、警備兵はもちろんだれもいない……。
思い切って身体を通せるくらいまで扉を開くと、『こつん』という音と同時に扉になにかがぶつかったような振動を感じた。
廊下に一歩出て、床を見てみると小さな白い小箱が置かれている。素早く左右を見るが、やはりだれもいないし、気配もない。しんとした空気が広がっているだけだ。
私は小箱を慎重に拾い上げると、そっと部屋に入り扉を閉めると大きく息を吐き出した。
どうやら、知らずに息を止めていたらしい。鼓動も驚くほど速い。
扉にもたれて呼吸を整えながら、手に持っている箱に視線を向ける。無防備に手に持っているが、罠が仕掛けられている可能性も考えられる。
とりあえず、小箱を文机の上に置き、ランプに灯りをともす。
やわらかな光が文机を中心に室内に広がると同時に気持ちが落ちついてきた。
メモを書いた本人と会うことを想定したため、ある意味肩透かし食らった気分だ。
この箱に期待するしかないだろう。
まず小箱をよく観察する。
この箱を持ってきたのは十中八九、私にメモを寄越した者だろう。警備兵まで遠ざけられるのは、それなりに地位のある者だが、該当する人物はそう多くない。
(一体だれなのかしら……?)
思い当たる人物がいないが、敵でないことを祈りたい。
小箱は白い厚紙製でかぶせ蓋がついてる。大きさは各辺15㎝程度の立方体だ。どの面にも文字や模様などはなく、どこから見てもただの真っ白な箱だ。
見た目には問題はないようだが、蓋を開けることで発動する罠が仕掛けられていることも考えられる。
(蓋を開けた途端、毒矢が飛んできたり、毒ガスが噴き出したり、毒蛇が飛び出してきたらどうしよう……!)
罠の可能性を考えると再び心臓がバクバクして手が震える。
けれど、だれかはわからないが、警備兵を追い払ってまでもこの箱を私に届けたのだ。
このまま中身を確認しないわけにはいかない。
念のためできるだけ箱から身体を離して、両手で蓋を持つ。
目をつぶると、思い切って蓋を持ちあげた!
……毒矢も毒ガスも毒蛇も飛び出してこなかった。特になにも起こらない。
(考えてみたら、私をどうにかしようと思ったら食事に毒なりを仕込めばいいのだもの。こんな手の込んだことをする必要はないわよね。)
警戒しすぎな自分に呆れながらも、ほっとして箱の中を覗き込む。中には白っぽい布が入っている。
私は手にした蓋を文机に置き、箱の中身を取り出した。
布に見えたものは小さな巾着袋だった。
袋と同じ色のヒモで袋の口元が絞られていて、蝶結びにされている。
手のひらに巾着袋を載せてみるとそれなりに重い。
軽く揺すってみると、かちゃかちゃと音が鳴る。どうやら金属のなにかが入っているようだ。
慎重に蝶結びを解いて巾着袋を開けてみると中には、それぞれ金色、銀色、銅色、3本の鍵が入っていた。
読んでくださりありがとうございます!