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20お義兄さま救出計画始動!~エリクサー~

本日2話投稿しています。これは2話目の投稿です。読む順番にご注意ください。


不慣れなため、間違いも多々あると思いますがご容赦ください。

誤字やおかしな表現があれば、教えていただけるとありがたいです。


「原因さえわかれば手の打ちようはあるかと思い、文献を探したり、知り合いの医師にたのんだり、同じ症例を探しております。

 あとは……。」


 なぜかカールが言いよどむ。


「あとは、なんですか? なにか方法があるなら教えてください。 」


魔法薬エリクサーがあれば、バイロン様は快癒するでしょう。」


「エリクサー……。」


「はい。古の回復薬で、死以外のあらゆる状態を癒すと言われています。」


「え、物語ではなく、実在……するのですね……? 」


 子供向けの有名な物語がある。


 ある国の王子が病気の姫のために薬を探す旅に出る。その途中さまざまな困難を乗り越え、最後に悪い竜を倒して手に入れた妙薬を国に持ち帰る。その薬を姫に与えたところ姫の病気が治り、ふたりは結婚してその後幸せに暮らした。


 ざっくりとこのような内容だ。物語の中で竜を倒して入手した妙薬こそが『エリクサー』だと言われている。

 

「ははは。物語として有名ですが、エリクサーは実在します。これまでにも実際に売買がおこなわれているという話を聞くので入手できる可能性はあるでしょう。

 ただ、いますぐにはむずかしいかと……。

 エリクサーの作り手を見つけることができれば話は早いのですが……。」


「エリクサーの作り手ですか? 作れる人が決まっているのですか?」


「エリクサーは魔法使いにしか作れません。魔法使いが少なくなった今では、所在が明らかにされている魔法使いたちのなかにはエリクサーの作り手はいないとされています。

 ですがエリクサーの売買がおこなわれている以上、作れる者はいるはずです。」


「魔法使い……。」


(エリクサー……エリクサー……の作り方……たしかどこかで……。思い出せそうで……。)


「メリッサ様? 」


「! すみません、少しぼんやりしてしまって………それは? 」


 見ると、カールが私に向かって1通の封筒を差し出している。


「じつはアラン様が捕らわれる前に、こちらをお預かりしました。

 自分になにかあれば、メリッサ様にお渡しするようにと。」


 カールが差し出している封筒には『メリッサへ』と書かれている。アランお義兄さまの筆跡だ。

 封筒を受け取り、裏返してみるが、そちらにはなにも書かれていない。封筒の真ん中あたりがわずかにふくらんでいるのがわかる。紙にしては厚みがあるので、なにか同封されているのだろう。


 いまこの場で開封して中身を確認したい欲求に駆られるが、カールの目の前では開けないほうがよいだろう……。


「カール先生、いろいろとありがとうございました。あといくつか聞かせてください。」


「ええ。私が答えられることでしたら。」


「はい。わかる範囲で結構です。

 アランお義兄さまですが、会うことはできますか? 遠くから見るだけでも構いません。せめて無事な姿をひと目だけでも確認したいのです。」


「アラン様は一般の地下牢ではなく、半地下にある貴賓牢にいらっしゃいます。

 捕らえられた際に軽い怪我をされましたが、私が治療をしました。そのときはお元気でしたよ。

 ただ面会するにはバイロン様かコートニー様、あるいはデニス様の許可が必要かと。」


(許可を取るならデニスお義兄さま一択だけど……ううっ会いたくない……。でも、アランお義兄さまに会って話したいこともあるし……。)


「わかりました。考えてみます。

 それから、義父の世話はコートニー様がされているのでしょうか?

 コートニー様は義父の容体についてなにかおしゃっていますか? 」


「バイロン様のお世話は看護師がおこなっていますが、コートニー様も日に何度か様子を見に来られます。先ほど午前中にも、私が診療しているときにいらっしゃいました。

 コートニー様にはバイロン様の容体と経過を報告しています。症例を集め治療法を探していることや、エリクサーのことですね。


 ただ、コートニー様はそれらにあまり期待していないように見えました。」


「まあ、なぜでしょう? 確立が低くても、治るかもしれないのであれば喜びそうですが……。」


「そうですね。ですがやはり、症例すらない病の治療法や実物すら見たことのない幻のような魔法薬が、この短期間で見つかるのかと悲観されているのかもしれません。


 それでもコートニー様は、バイロン様ができるだけ快適に過ごせるよう寝室の換気や灯り、香りにも気配りなさってますし、寝室にいるあいだはずっとバイロン様の手を握っていらっしゃいますよ。」


 カールの話を聞くと、やはり夫婦仲は良好のようだ。


「ほかにコートニー様はなにか言われましたか? 」


「ほかにですか? そうですねぇ……。

 ああ、コートニー様ではありませんが、バイロン子爵がお見舞いに来られたときにエリクサーの話はだれから聞いたのか尋ねられました。」


「! エリクサーは、だれもが知っている有名な魔法薬なのでは? 」


「ええ、お伽噺としては有名ですね。メリッサ様もご存じだったでしょう? 名前だけなら広く知られているでしょう。

 ただ、実在することを知っているのは貴族や大商人、私のような医療などに携わる者でしょうか。あとはもちろん魔法使い本人たちです。」


「まあ、では思い付いたのはカール先生ですか? それとも……? 」


「今回は……たしかアラン様が最初に『エリクサーなら治るかもしれない。』と言われたのがきっかけだったと記憶してます。」


(アランお義兄さまがエリクサーを知っていても不思議ではないけれど……。

 それを聞いたのがバイロン子爵だということが気になるわ。まさか、アランお義兄さまが嵌められたこととは無関係……よね?

 エリクサーについて、もう少しカールに聞いておきましょう。)


「そもそも、エリクサーを病の治療に使うのは一般的なのでしょうか? それにおいくらくらいするものなのですか? 」


「いえいいえ、通常の治療に使用するには高価すぎてとてもとても! 常識的にはありえないので、私は端から思いつきもしませんでした。アラン様の発想力には頭が下がります。

 価格は……秘密裏に取引されるため詳しくはわかりません。ですがオークションでは天井知らずと聞きますね。」


「天井知らず……。」


(もしエリクサーが見つかったとして、カルトリードで購入できるのかしら? 聞きたいような聞きたくないような……。)

 

 カールも辺境伯家の懐事情に口を出す気はないのだろう。うまくぼかしたようだ。


「わかりました。いろいろとありがとうございました。

 最後に、義父を見舞いたいと思うのですが……ほかの方のお邪魔にはなりたくないのです。いつならよろしいでしょう? 」


 コートニーと鉢合わせしたくないことを暗に伝える。


「そうですね、昼食直後なら静かに見舞えると思いますがいかがでしょうか。」


「ありがとうございます。では明日の昼食後に見舞ってみます。

 それでは長々とお邪魔してしまって申し訳ありません。カール先生、ありがとうございました。」


「いえ、微力でもお役に立てたなら光栄です。……メリッサ様、お気をつけて。」


「? はい。では失礼します。」


 軽く会釈をして医務室を後にする。


(気を付けて、ね。もちろんそうするわ……。)


 ポケットに入れた封筒を布地越しにそっとなでる。


(さ、次は図書室よ!  『迷いの森』に加えて、『エリクサー』についても調べてみなくては! 封筒の中身も気になるし……図書室にだれもいないといいのだけど。)


読んでくださりありがとうございます!

明日より、毎日6時に更新(予定)します!

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