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8話 神降臨

ぎゃぁーーーー

 空気は数分、数秒ごとに重くなり、禍々しいオーラを感じる。翔琉は倒れ、凛は今にも吐きそうであると目で訴えている。


 このままでは危険なので、翔琉を背負い、凛と走った。翔琉の吐く息が僕の耳を触れる。呼吸していることを確認できたので少し安心した。


 しかし、何かに追われているような気配を感じ、不安で後ろを振り返る。すると、翔琉の魂が祠の方へ吸い込まれる。追いかけたいが、これ以上あの場所に居続けると危険であるのと、僕の見間違いである可能性もあるため諦めることにする。


山々を抜け、救急車を呼んだ。


「何があったのですか」と救急隊員に聞かれたので正直に話した。


「あそこにある祠に近づいたら、急に倒れたのです」


「そうでしたか……」と言い黙り込んでしまった。


 救急隊員の表情から、それほど危険で恐れられている場所だと言うことが読み取れる。神霊スポットというくらいだから、縁起のいいものだと思っていた僕が大間違いであった。神様を怒らせてしまったのではないかと不安である。


 病院に着くと翔琉は個室の病室に運び込まれ、凛は検査を受けようとしていた。


「西園寺さんの検査をしましたが、異常はありませんでした。西園寺さんはたまにこういうことがあるのですか?」


「いいえ、今回が初めてです」


「そうですか。救急隊員の方から例の場所へ行ったと聞いたのですが……それは本当ですか?」


「はい。そうです」


「たまに同じ症状で例の場所から運び込まれる方がいらっしゃるのですよ」


 駅員さんが言った通り行かない方が良かったのだろうか。少なくとも彼らは行かせない方が良かったのかもしれない。後悔の念でいっぱいだ。


 今僕がするべきことは、彼らに謝罪をして、これまでの感謝を伝えることだ。そして、もう二度と彼らとは会わない。そうすることにより、彼らの人生は何不自由なく幸せに暮らすことができる。


「そうでしたか。綾瀬は何処で検査しているのですか?」


「綾瀬さんはもう検査は終わり、待合室にいらっしゃいますよ」


 謝罪と感謝。それを言うだけと思い待合室に向かう。


「凛、すまない。本当にごめんなさい。そしてこれまでありがとう」


「何言っているの。謝らないで」


「いや、謝りたいのだ! これから僕一人でい――」


「ぎゃぁーーーー」


 突然病院の電気が切れたことで、皆がパニック状態に陥る。頭にズキズキと痺れるような痛みとめまいがする。体がふらつき近くの椅子に座る。


――神楽唯舞暉。一人、我のがり来たまへ。


「……。凛、すまない。僕はこれから行かなければいけないところがある。翔琉を頼んだぞ」


「まさか、例の場所に行くの? やめなさい」


「そうですよ、今度は死にますよ」とこちらを睨みながら医者は言った。


「本当にごめんなさい。これが僕の運命なのです。邪魔しないでください」


「戻りなさい。死んでもいいのか」と声を荒げる医者。


「いいえ。僕は生きます。しかしもし死ねばそれが運命だったと言うことです」


 僕は生きる。生きて帰ってくる。その自信はある。




 僕は期待に胸を膨らませながら先程通った道を歩き、湖にある祠まで近づき、その前に立つ。先程はそこまで三十分かかったが、今回はその半分の十五分でたどり着くことができた。『恐怖』なんて今は全く感じない。今まで恐れていたことが馬鹿馬鹿しくなった。


「一人で来たぞ!」と響き渡るように腹から声を出した。


「よく来たり。長き間ここに神楽の姓を持つ者の来るを待てり」


 声はするものの姿が見えず、苛立ちを覚える。一体誰なのか、呪いを解くことができるのか、なぜここにいるのか、など沢山の疑問が頭に浮かぶ。それら全てを神様にぶつけたい。


「あんたは一体何者だ」


「我は初代神楽なり」


「姿を見せてくれるか?」


「なんぢのとぶらひにはいらへられず」


「なんて言っているのだ」


――ゴロゴロ ドカーン


 僕に雷が落ち、全身が麻痺して動かない。そして意識が朦朧としている。意識がなくなろうとしていた時、翔琉らしき人物が浮遊していた。それを見た後意識を失ってしまった。




「お父さんなんで遊んでくれないの?」


「お父さんはお前が嫌いなんだ。頼むからあっち行ってくれ――」


「お母さんなんで僕はお父さんに嫌われているの?」

「お父さんのことは忘れて遊びましょ」


「お前のお父さんニートらしいな」


「そんなことないよ。お父さんは、お父さんは……」



 父は何をしていた人だったのだろう。そしてなぜ僕を嫌っていたのだろう。『嫌い』と言われた日から父と一切会話をしなかった。しなかったと言うよりも出来なかった。僕が父のところへ行こうとしても、先に逃げられた。しかし、父は誕生日のプレゼントやクリスマスプレゼントやお正月のお年玉などメッセージを添えて僕に無言でくれた。そんな優しい面もあった。


 すると前から父が来て、ニコッと微笑んだ。初めて見た父の笑顔だった。


「お前はまだここへ来てはいけない」と言った。


「どう言うこと?」


「初代神楽様の悪戯……」


 それだけを言い残し消えてしまった。




悪戯とは何か...。

なぜ父は唯舞暉のことを嫌っているのか...。

これからどうなってしまうのか。



なにかファンタジー小説になっているような気が...。

とてもこの先が不安ですが頑張ります。

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