6話 プラスマイナス
左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕左腕
晶を殺したのはシャドーピープルだと確信した。
これからはもう何もしない。潔く『神楽』の運命に従い、三十年後に死ぬことを受け入れば、もう誰も死なずに済むだろう。僕は生涯独身で孤独な日々を過ごし、神楽という姓を途絶えさせる。そうすることで呪いは全て払拭されるはずだ。
「明日の天気は土砂降りの大雨となるでしょう。雨具の携帯をお忘れなく――」
外に出ると数分前まで見えていた満月が地上付近に見える背の高い雲によって覆われた。その様子がこれからの僕の人生を語っている様だった。
――ピンポーン
家のチャイムが鳴った。きっとシャドーピープルだろう。しかし前回の様な恐怖は感じられなかった。それはきっと今までの幸せな人生とは決別し、不幸になる人生を歩み始めたところだから。
「来るなら来い! 僕はもう全てを受け入れた」と腹の底から声を出す。
ドアの向こうからはざわめき声が聞こえ、二、三人くらいはいるだろう。そしてドアが音を立てながらゆっくり開く。深く息を吸って精神を落ち着かせる。
「来いー!」
「唯舞暉元気か? さっきの厨二病みたいな発言なのだよ。やっぱりまだ疲れがとれてないのか?」
「え? なんでお前らがここに」
こいつらは晶と同じくらい親しい友人の西園寺翔琉と綾瀬凛だ。後ろには三上先生もいた。
「なんでって。唯舞暉が倒れたって聞いてさ」
「あー。そういえばそうだったな」
「なんか大丈夫そうだな」
「なんか元気そうでよかったよ。そしたら先生はこれで」と言い帰った。
「私結構心配したのだからね?」と涙目で声を震わせながら言った。
まさか心配して来てくれる人なんているとは思わなかった。素直に嬉しいし、感謝の気持ちでいっぱいだ。
「ありがとう。本当にありがとう。助かったよ」
「なんだよ急に……。大袈裟だな」
大袈裟か……。この二人は僕の命を救ったなんて思いもしないだろうな。『運命に従う』なんて言ったが、それでは根本的な解決にならない。なんて馬鹿なことを考えていたのだろう。しかも、もし僕が死んだら、この二人を悲しませてしまっていた。
「よし! 決めた」
急に大声を出したせいか、二人同時に体をビクッとさせた。
「急に大声出さないでよ」
「ごめん。悪いのだが、聞いてほしいことがあるのだ。相談? みたいなやつさ」
「おう! 唯舞暉が相談なんて珍しいな」
「まぁ。いろいろあってな」
これまで起きた怪奇現象や謎の呪い、シャドーピープルについて全て打ち明けた。一人で立ち向かおうなんて思っていたことが大きな間違いだった。『協力して欲しい』そう心から思い、心から信頼できる友人に頼んだ。
「なるほど……。厨二病発言が出た理由もそれだったのか」
「何か怖いけど、協力するわ! 唯舞暉が本気で悩んでいたのにそれに気づけなくてごめんね」
巻き込まれる可能性だってあるのに協力してくれるなんて…僕は最高の友人を持ったものだ。
「ありがとう。感謝してもしきれないよ」
「親友なのだから協力して当たり前だろ? それに晶のことも気になるし」
「晶君、さっき言っていたシャドーピープルに殺されたって言っていたけど、なんでそれが言い切れるの?」
「左腕だよ。僕がシャドーピープルに殺されかけた時、左腕を引きちぎって投げて来たんだ。多分そいつ腕を治すためにとったのだよ」
「なるほどね」
「そういえばブログ主からの返事まだか?」
「いや、僕もさっき見たのだけどなかった」
――ピロリン
メールの着信音がしたので、メールボックスを開ける。
「神楽様。ご連絡ありがとうございます。数十年ぶりのお客様でとても嬉しいです。ご都合の合う日で構いませんので、ご連絡ください。お待ちしております――」
034-4810-5644
やっぱり1500文字くらいに減らします。
また戻るかも.....