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5話 特殊な厄

ブログ主の正体は誰なのか。そしてブログの主と近づくことができるのか。

 僕はブログを一通り読んでみた。しかしそれが迷信なのか正信なのかがわからない。内容はぶっ飛んでいるし、感嘆符や疑問符が羅列している。


 サイトのデザインはよくある都市伝説サイトのような暗くて蛍光色の文字色である。釣りサイトの気配がプンプンするので信じることができないが、このブログを書いている人はある神社の宮司さんらしくて、とても有名な方で、迷信かどうかも断定できない。


 少しでも話を聞いてみるのが筋だと思い、メールを送って、反応が良ければ、その神社に伺おうと考えている。


 ブログ主のコメントも念のために目を通すと、以下のようなことが書かれていた。


「もし、このお話を信じてくださる方がいらっしゃるのならば、喜んでお話し致しましょう。


 しかし、一般の参拝者の方を巻き込むようなことは、決してあってはいけません。よって、こちらにお越しになる前に最低限厄除けや富士山の頂上で祈りを捧げるなどをしてから、いつでもいらしてください」


 なんだこれ。厄除けって。しかも一般の参拝者をも巻き込むぐらいの厄なんて……。相当大きな厄じゃねーかよ。     


 でも、たしか神楽って神の遣いだったと書いていたよな、それなら僕は厄とは無縁なはずなのに……。とりあえずコメントに書いてある通り厄除けはしよう。山登りは理由がわからないから後回しにしよう。


 別にバチが当たるわけでもないし……。




 都内にある厄除けで有名な神社に来た。有名だけのことはあって、参拝者が溢れかえっている。休日だから尚更多いのだろうな。これ集合体恐怖症の人大丈夫なのかな。僕は、高所恐怖症だが、上からその眺めを見てみたいものだ。


 僕は、あらかじめ神社に電話を入れて予約をしていたので、スラスラと進むことができた。


「あの。すみません。神楽ですが」


「神楽様ですね。こちらへどうぞ」


 去年修繕されたらしく、床や壁からまだ微かに木の香りがする。とても壮麗で透き通るような廊下なのに広々している。


 巫女さんに案内されて来た場所は、さっきまでとは違う古くてミシミシと音が鳴る床で、宵闇に包まれているような狭い場所だった。真ん中には、その神社の宮司さんが座っていて、鬼のような形相でこちらを一点見つめし、目を逸らそうとはしない。


「あの……。失礼します」


「ちと待て。そこでいて、動くな」


 すると、宮司さんは塩を持ち出し、僕に向かって投げて来た。まるで僕が悪い厄みたいで気分が悪かった。


「何するのですか!」


「すみません……。そこにお座りください」


 宮司さんは一気に頬の緊張がとけたようで、目や口角が緩み、優しい表情を浮かべた。宮司さんは二面相の持ち主であった。雰囲気が違いすぎて、別の人物と話しているのかと思った。


「君にはなんの厄もついていない。今日は帰りなさい。私を信じなさい」


「見ただけで分かるのですか?」


「これまで一体何人の人を見て来たと思っているのだ」


 僕はその言葉にとても安堵した。やはり、厄なんかついていなかった。そうしたら尚更、山なんか登る必要ないな。




 家でも白い息が出るほど寒く、天気予報によると、零度を下回るって言っていたな。冷え性の僕は天気予報見るといつもため息がでる。そのため、極力それを見ないようにしていたのだが、雨が降りそうな分厚い雲があったので、見ざるを得ない。


 家に帰って来た時には、もう一九時だった。手足はまるで石のように固まっていた。メールボックスを見てみるがまだ返事はなかった。まだ夕食を食べていなかったので、コンビニで海苔弁を買った。親がいる間は出来なかった、食事中にテレビジョンを見ることを僕は初めてした。


 しかし、今の時間帯にあまり面白くて興味深いチャンネルはなかったので、仕方なくニュースでも見る。経済のことや、コロナウイルス対策や、政治の話など。正直言ってつまらないが、ラジオ程度で流すのならばちょうどいい。すると、速報のニュースが流れて、中継に切り替わった。


「えー。こちら大木です。先ほど男子高校生のバラバラ死体が都内で見つかりました。犯人はまだ捕まっていません。都内を逃走している模様です」


 なんか奇妙な事件だな。犯人が逃走中って、犯人の目星でもついているのかな。いや、しかし、テレビでバラバラ死体なんていうのは如何なものか。しかも僕食事中だし。


「被害者は都内に住む一八歳男子高校生の如月(きさらぎ)(あきら)さん。一週間前から行方不明に――」


 は? 晶。あの晶か……。僕の親友で幼馴染。今まで行方不明だったなんて……。知らなかった。あれなんでだろう。涙が止まらない。父の死の時の記憶が蘇る。切り傷が多く、手足が普通考えられないような方向に曲がっていたり、一部分が無くなっていたり、今でもその気持ち悪さは鮮明に覚えている。忘れたかったのに忘れさせてくれない。


 しかし、彼は『神楽』ではないので、全く別物の事件だな。早く犯人が捕まってほしい。そう願うことしかできなかった。

「最新情報です、被害者の遺体を警察が確認したところ、左腕がまだ見つかっていません」



2000文字くらいに増やしましたが、どうですかね?

読みにくい様でありましたら、1000字くらいに戻します。


今回もご覧いただきありがとうございました。

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