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34話 踏み出す

不定期投稿にもかかわらず、この作品を見てくださりありがとうございます。

 雲一つない快晴のもと精一杯背伸びをする。シャドーピープルのことを少しではあるが分かった気がする。普通の人間であり、決して敵わない相手であること知り、安心とやってやろうという強気の気持ちを持つことができた。


 昨晩、少年は僕に「あの墓に行けば、シャドーピープルを完全に葬ることができる」と言った。やはりあの墓はこの世のものではなくあの世のものであり、関係のないものが入ることは許されない場所だったのだ。翔琉と凜が命を落としてしまったのは間違いなくあの墓のせいだ。あの世に足を踏み入れてしまったので死に近い存在になってしまったというわけだ。二人の亡くなるタイミングに差があったのはあの世に引っ張られる耐性がついていたか、ついていなかったの違いだ。僕も限りなく死に近い状態にいるが、まだ生きていられている。死への耐性が強いなんて皮肉だな。神様も悪戯好きなのだな。


 少年は僕が起きる前に起床していたらしく、目を開けると覗き込むように僕を見ていたので、それには流石にびっくりした。


「それでいつ墓にいくんだい」


「まだ分からないが、早めに行きたい。だってシャドーピープルを消し去ることができるんだろ」


「ああ。そしたら君と僕は今殺されることはない」


「じゃあこれから先、もっと生きられるということかい」


「その答えは墓に行ったらわかるよ」


 あの墓に一般人が入ることは許されない。入ると凜や翔琉のように死の呪いにかかり死ぬ。シャドーピープルは普通の人間だ。つまり僕が奴を引き連れてあの墓に入ればシャドーピープルは死の呪いにかかり、やがてあの世に行く。決着をつけようじゃないか。


「明日、墓に行く。君ももちろん付いてくるだろ」


「お供させてもらうよ。君の妹さんはどうするんだい」


「妹? 芽衣は関係ないから誘わないよ」


「それはどうかな。妹さんは今ストーキングの被害に遭っているらしいじゃないか、それに君のお母さんは何者かに襲われた。これって繋がってるんじゃないか」


 ストーカーと母さんを襲った奴は同一人物であるということか。そんなわけがないだろう。なんのためにそんなことをするんだ。いや、その人物がシャドーピープルであればそういうことをやり兼ねない。


「なあ少年、母は死んだか」


「あまり言いたくはなかったが、君のお母さんは死んでいる」


 流石死神。死んだかどうかはわかるのだな。


「そしたら、妹はどうだ。生きているか」


「ああ、生きてはいる。しかし、かなり死に近い状態だ。だから、そばにいてあげた方が良い」


 母の死は残念に思う。あの電話が最後の会話だったなんて信じられない。今までの僕であればとても落ち込み、自分自身を追い込んでいただろう。しかし、今は一秒も無駄にできない状況だ。悲しむのはこの問題を解決してからにしたい。


 今何よりも優先するべきことは妹を助けること。死に近い状態で一人にさせる訳にはいかない。

 




 見たことがある景色。今は亡き友と来た場所。


 五十鈴ヶ丘。


 神楽についてのサイトを書いていた人物に会うため出かけたが、乗り越し、たまたま行き着いた場所。あの時は気が付かなかったが、サイトを書いた人物はシャドーピープルに違いない。わざわざ三重に呼び出してまでしたいことは何だったのだろうか。


 神霊スポットだと紹介してくれた駅員さんはいるだろうか。改札を抜けると同時に駅員室を覗き見る。しかし、誰もいなかった。


「本当に一緒に来ても良かったのか」


「うん。一人でいるよりかはいいからね」


 昨日、芽衣のことが心配でたまらなかったので、電話し大丈夫か確認した。再会して一日も立たずに電話してきた僕に芽衣はとても驚いていた。ストーカーはシャドーピープルに違いないことを伝え、危険だから神楽家に来ることを勧め、昨日の夜迎えに行った。そして、明日墓に行かなくてはないことを伝えた。正直付いてくるのはもっと危険なので、勧めなかったが、どうしても行きたいとのことだったので一緒に行くことになった。


「何かあったら、芽衣だけでも逃げるんだよ」


「分かった。それよりもさっきから気になってたんだけど、お兄ちゃんの横に飛んでる奴は何」


 初代神楽の霊が芽衣にも見えているのか。血はつながっているから見えていてもおかしくはないか。


「初代神楽の霊だよ。墓のことやシャドーピープルについて教えてくれたんだ」


「ずいぶん親切なご先祖様だこと」


「それよりしばらく神楽家にいることだが、学校はどうするんだ」


「一応先生にはメンタル異常のため兄と一緒に安静に暮らすとか言っておいた」


 メンタル異常って……もっと他に良い嘘はなかったのかと思う。


 十分くらい話しながら歩くと、異様な空気が漂っている神楽の墓の入り口に着いた。あの時のまま変わらず気味が悪い。


「着いたよ。ここが神楽の墓。引き返すなら今のうちだぞ芽衣」


「大丈夫。準備はできてるよ」


 深呼吸をし、神様に願う。どうか、良い方向に進むことを……


――まて。入るんじゃない。


 後方から何度も聞いたことがあるあの声が聞こえる。そうシャドーピープルの……


 最終決戦がもう始まる。


 


残り数話となりましたが、最後までこの作品をよろしくお願いいたします。

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