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12話 波瀾万丈

芽依さんとは.....。

 カーテンから漏れた光が静かに降り注ぐ。今日の天気は雨であると予想されていたが、朝目が覚めると春を感じさせるような優しい太陽が昇っていた。雨だと偏頭痛が酷く、気分が乗らないが、今日は雲ひとつない快晴。とても気分が良いので、髪はいつもより丁寧に巻き、化粧はいつもより濃くする。


 私の学校は化粧や髪のアレンジなどのお洒落は全て認められている。割と偏差値の高い学校であるからだろう。つまり髪色を金髪や茶髪に変えたり、ピアスを開けたり、スカートを折っても全く問題ない。そんな学校で過ごしてもうすぐ一年。時間とは長いようで短い。


「芽依! 昨日の新刊読んだ?」


「あ、ええーっと。読んだけど……」


「読んだけど?」


「んー。何か期待はずれだったな……」


「そっかー。私は満足だったけど」


「まぁ、今回は好き嫌いがはっきりと分かれるだろうね」


 実際のところ、新刊はまだ読んでいない。そのように言えば語弊があるかもしれない。正しくは、読んだが記憶にない。というのも昨日の男性が頭から離れなかったのだ。ずっと探していたような、遠くて近い存在のように感じたからだ。


「どこのシーンが好き?」


「え、あー。そうだな……」


「…………」


「芽依ちゃん! 今時間ある?」


 どのように誤魔化すか悩んでいたところにタイミングよく佐藤先生が来た。初めて佐藤先生の私への執着に恩義を感じる。全く……なんて私は都合の良い人間なのだ。


「美優ごめん! この話はまた今度」


「そうだね!」


「美優さんごめんね」


 すまない――美優よ――


「何の御用ですか?」


「実はあなたに伝えなければいけない大事な話があるの」


「はぁ……」


「実はね……。あなたにはお兄様がいるの――」


「ご冗談はよしてください。それでは失礼します」


「ちょっと。まだ続きが……」


 そんな話など聞きたくもない。私を捨てた家族なんて糞食らえばいい。物心がつく前に児童養護施設に入ったので両親の顔は一切覚えていない。兄弟がいたかどうかも分からない。それでも私は母か父のどちらの顔に似たのか少し興味がある。


『芽依は俺と違ってお父さんに嫌われるなよ』


 昔の眠っていた記憶がフラッシュバックした。


 誰が言っているのかは分からないが、小学生くらいの男の子が言ったみたいだ。


「俺と違って」と言うことはその子は私の父さんに嫌われていたと言うことで、つまり私の兄。そういう事になるが……。

 もし本当に私に兄がいたら今何をしているだろうか。




 群青色と淡いオレンジの綺麗なグラデーションの下、自転車で風を切る。


八時間目終了後、ホームルームをサボって教室を出た。昨日佐藤先生がどうしても今日の放課後は開けとけと言っていたので、渋々部長に部活を休む事を連絡した。しかし今私は佐藤先生の顔も見たくない、なので私は佐藤先生から逃げるように学校を出た。


 冬の冷たい北風が身に染みる。冬は嫌いだが冬の冷え切った空気を駆け抜けるのはとても気持ちが良い。


「はっはっはっはーーー」と大声で笑う。


――あっ。


 体が地面に強く打ちつけられ、視界が回る。どうやら転倒したみたいだ。全身が痛くて動けない。苦しいはずなのに何故か楽しい気分だ。


 このまま死んでしまっても悔いはない……。




 白くて果てしなく続く空間。時間の経過を全く感じさせない。私は1人ポツンと立っている。すると中央部分に薄くて黒い丸が現れる。やがてそれは人型になり、ハッキリとした黒色になる。


「あなたは誰?」


「君の質問には答えられない」


「此処は?」


「……」


 その人物は黒子のままで、誰なのかが分からない。唯一分かることは中折ハットを被りロングコートを着ているということだけだ。


「ワタクシハキミヲコロシニキタ」


「はぁー? 何言っているの?」


――ブォーン


 急に顔に拳を突きつけてきた。直接当たらなかったが、その一発で、あの黒子が私を殺すと言っていたのは本気である事を理解した。


「今のは挨拶程度のものだが、次はそうはいかないぞ」


「いやいや、なんで私がこんなことされなきゃいけないのよ」


 すると奴は私に近づいてきた。逃げようと心では思っているものの、体が言う事を聞かない。助けを求めるために大声を出そうとするが、声が出ない。このまま動かなかったら奴の思う壺だ。しかし体はびくともしない。


 ついに奴は私の首を掴み、絞めてきた。苦しくて息ができない。段々と奴の力も増し、私の体力も限界に近づいてきた。徐々に意識が遠のき、私は気絶した。




 目が覚めると周りには真っ白なカーテンがあり、私はベッドに横たわっていた。髪や掛け布団は乱れ、病衣やベッドのシーツは汗で湿っていた。随分と長く寝ていたように感じる。


「芽依――意識が戻ったのね!」


「戻ったって?」


「堤防から川の方に落ちたでしょ?」


「そう言えばそんな気がするよ」


「全く……。心配したのだからね」


「ごめんね」


「一ヶ月も眠るなんて……」


「一ヶ月!?」


「驚くのも当然だよね」


 正直何故堤防から落ちたぐらいで、一ヵ月も寝込んでいたのかが理解できない。自身の体を見ても特に怪我の跡はないし、手術したような感じもしない。頭にも傷はない。


「私何故こんなに健康そうなのに、眠っていたの?」


「それは私にも分からない。それよりも、着替えたら?」


「そうだね。結構汗かいているみたいだし」


 看護師さんを呼び、新しい病衣を用意してもらう。すぐに新しいそれを渡され、着替えるために、古いそれを脱ぐ。すると、首元に違和感があったので、鏡でそこを見る。


そこには人の手らしき跡があり、赤くなっていた――



前話から約3日くらい投稿できなくて申し訳ございませんでした。

これから3月入るまでは諸事情のため毎日のように投稿することができませんので、ご了承下さい。


勘の言い方ですと、芽依ちゃんは○○○○○であると言うことがわかったと思います。

次作も楽しみにお待ちいただけたら幸いです。

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