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11話 目撃者

ここから第二章です。 

中学一年生の芽依視点です。

 今日は雨、昨日も雨だった。そして明日も雨の予報。授業がつまらないので窓の外を眺める。全く…真冬だと言うのに雨が続くのは萎える。髪の毛の巻きはとれて化粧は落ちる。今朝の努力が全て水の泡になる。


 雨は女子の敵だ――


「そしたら、えっと……。芽依ちゃん! ここの問題の答えは?」


 今は英語の授業で、今当ててきた先生は佐藤先生だ。髪は胸あたりまであり、目は大きく垂れ目で、小柄で華奢である。まさにリアルアニメキャラクターだ。佐藤先生は童顔で可愛い上に性格も良いので生徒からとても人気がある。若くて親しみやすさもあるのだろう。


 私は一人の先生を気に入って、媚を売るようなタイプではなく、どの先生も同じ接し方をするようなタイプだ。


 つまり私は特別佐藤先生と親しくしたり、贔屓をしたりすることはない。だが佐藤先生は私を気に入っているようで、昼休憩や放課後の呼び出し、そして今みたいに当ててくる。本当に気味が悪いし、それは私のルールに反する。


「los odio a todos あっ。違ったI hate you all. だと思います」


「正解! 流石芽依ちゃん! 頭いいね!」


 あー、本当に胸糞が悪い。なんでちょっと正解しただけで褒めるのか。 だからこの授業はつまらない。そしてこの先生が嫌いだ。




「芽依ちゃん。今日こそ放課――」


「いえ、今日は友人との約束がありますので、失礼します」 


 たまにこうやって誘ってくる。先生はなぜ私にこんなにも執着するのか意味がわからないし、正直言って気持ち悪い。


「そっかー。残念。そしたら明日の放課後は開けといてね?」


「努力します」


 大体いつもは部活動があり遠慮しているのか誘ってこないが、部活が休みであることを一体どこからか聞きつけたのやら、ホームルーム終了後すぐに私のところへ来た。


 しかし今日は先約がある。美優との大事な約束だ。


「芽依ー! お待たせ。行こっか」


「うん!」


「新刊発売の今日まで楽しみで楽しみでどうにかなりそうだったよ」


 これが大事な約束なのかと思うかもしれないが、私たちにとってはそうだ。なぜなら約1年ぶりの新刊であるからだ。


 新刊についてや前巻の感想などを話ながら店へと向かう。


 すると前方から帽子を深く被った全身コートの男性が走りながら私に突っ込んで来た。


 イノシシの突進かよ。


「痛っぁー。待てよこらー!」


「……」


 男性は振り向くこともなく、走り去っていった。不思議なことに先程の男性に見覚えがある。しかしどこで見たのかはわからない。随分と前に見たような気がするだけだ。


「大丈夫?? 怪我ない?」


「ありがとう。怪我はないよ! それよりもさ、なんなのあいつ」 


「そうだね。謝りもせずに行くなんて……」


「美優さ、さっきの奴見たことある?」


「はぁー? あるわけないよ」


「だよねー」


 勘違いなのかもしれない。


 だとしたらあのオーラは何だったのだろうか――





 書店に着きエスカレーターに乗ると新刊漫画の広告ポスターが大きく貼られており、楽しみで胸を膨らませる。レジの近くの網カゴに新刊の漫画が沢山積み重ねられていた。一冊手に取り買い物カゴに入れる。


「他に買いたい本ある?」


「あっ。待って。これこれ!」


 美優が持って来たものは都市伝説と書かれた雑誌であった。見出しの内容が胡散臭く、大袈裟だ。美優がそんな趣味をしているとは思いもしなかった。


「そんな雑誌読むんだ……」


「えっ。あー。実は今月の特集を推しが書いたらしいからさ……」


「な、なるほど。とりあえずレジ行こっか」


「そうだね」


 レジに並んでいる際沈黙になりとても気まずかった。よく見ると美優の買い物カゴには三冊入ってあった。新刊と雑誌と後もう一つは三重県のマップだ。家族旅行でも行くのだろう。


 しかし私は家族旅行というものは行ったことがない。私は幼い頃に児童養護施設に入れられ、ずっとそこで暮らして来た。今は寮がある中学に通っている。


 小学生の頃から陸上の短距離だけは得意で関東の大会で毎年三位以内には入っていたほどだ。その成績から、今いる中学から推薦してもらい、入学と同時に児童養護施設を出て寮生活をしている。


「また明日ね!」


「うん! また明日」


 寮といえば学校の近くにあるものだと多くの人はそう予想されるが、私の学校寮は本館から約二kmの距離がある。なぜこれほど離れているのか。それは、別館がすぐ隣にあるからだ。別館は主にスポーツ系の部活動をする生徒が放課後や休日使用するためのものだ。 


 学校終了後すぐにそこへ行くのは大変だが、休日はすぐそこにあるのでとても楽だ。





 天気予報で今夜は特に冷え込むと言っていた通り、寮に戻ってから随分と時間が経過したが部屋の温度は全く上がらない。朝から降っていた鬱陶しい雨は止んだが、明日はまた雨だ。その証拠に分厚く今にも降り出しそうな雲がある。冷え性の私にとっては、冬の雨なんて堪らない。すると、速報のニュースが流れ、中継に変わった。


「えー。こちら大木です。先ほど男子高校生のバラバラ死体が都内で見つかりました。犯人はまだ捕まっていません。都内を逃走している模様です」


 そういえば二日前くらい前に交通事故があったが、最近そう言う事件やら事故が多いような気がする。物騒な世の中になったものだ。


もしかしてあの帽子の男性か……いやまさかそんなわけがない――


第二章の最初の話であったため、書きたいことが多くて2000文字を超してしまいました。(今までもありますが)

新しい人物の視点を楽しんでいただけたらなと思います。

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