『新米たちのその後1』
繰り返しになるが、オフェーリアは興味のないことには一切関心を示さない。
その、今回の対象は少し前まで結界の外にいた冒険者たちだ。
「じゃあ、私はここで大人しく待っているわ」
まったくもって嘘である。
マティアスが戻ってこないと確定している今回の場合、纏まった時間、転移でどこにでも行ける。
「さあて、どこに行きましょうか」
オフェーリアの頭には、もうすっかり外にいた冒険者たちのことはなくなっていた。
ところ変わって、今は11階層を歩き回っている新米の初級冒険者たち4名。
ウッドハウスの住人にまったく相手にされなかったことから、ようやく諦めることにした彼らは、足早に階段を駆け下りたのだ。
「しかし何なんだよ、あいつら」
最後まで自分の剣で結界を突いていた剣士の彼が、悪態を吐く。
しかし彼はそんなだが、他のものは致し方ないと思っていた。
元々彼らはあわよくばあの山小屋風の家で休ませてもらうことを目論んでいたのだが、住人からはあっさりと無視された。
剣士の彼はそのことに憤っているようだが、元々住人にそんな義務はない。
だがこれ見よがしに目の前で食事をされたのだけは腹が立ったのだが。
「あの場で夜営出来ただけ、良かったと思っておきましょうよ。
色々見せつけられましたが、色々助かりました」
そう、ダンジョンの暗闇を照らす明かりには不自由しなかった。
護衛らしい冒険者がテントの近くの明かりだけ灯していたからだ。
これは本来、ある意味危険なのだが、たまたま大丈夫だったようだ。
何故なら魔獣には火を恐れず、反対にそこにいる人間を狙ってくる種もいるのだ。
「しかしダンジョンの中であんなの、酷いよな」
弓士の彼が言っているのはオフェーリアたちの食事風景のことである。
オフェーリアは状況が許す限り、普段と同じ生活を送ろうとする。
なので、ダンジョンの中でもダイニングテーブルを出し、そこで食事を摂るのだが、それこそ初級冒険者の彼らにはもの珍しい光景だったことだろう。




