『【かれー】に挑戦!』
結界への刺激に気づいたオフェーリアは、玄関の扉に付いている隠し窓から外を覗いてみた。
「あらまあ、まるでお約束の“招かれざるお客様”ってところかしらね。
どうせ何もできないのだし、放っておきましょう」
オフェーリアはキッチンに戻る。
彼女は今、都の教官(女性)のところで教えられた、別の世界の食べ物だと言う【かれー】を調合、いや調理中だった。
まずは都で購入してきた香辛料のクミン、コリアンダー、カルダモン、オールスパイス、ターメリック、チリパウダーなどを乳鉢で粉に挽く。
生姜やニンニク、玉ねぎもみじん切りにし、用意しておく。
先に粉状になったスパイスを、譲られたレシピ表通りに測っておき、乾煎りする。
粗熱が取れやすいようバットに広げておき、次は植物油でニンニク、玉ねぎ、生姜を炒めていく。
焦がさないよう入念に炒めてから、そこにバターを足し小麦粉を入れてまた炒めていき、馴染んだらそこに先ほど作ったスパイスを入れて、また炒めた。
料理それ自体の具材はシチューなどとあまり変わらない。
玉ねぎ、ジャガイモ、にんじん、そして肉は先日も食したミノタウロスだ。
それらを十分炒めていき、肉は表面に焼き色がついたら水を加える。
「分量が全部指定されているから、調理自体は楽ね」
具材を煮込んでいき、その際アクは丹念に取り除いていく。
完全に火が通った具材に先程のスパイスと、玉ねぎなどを炒めたものと小麦粉を合わせたもの(かれールーと呼ぶ)を合わせ、その他都で買ってきた他の調味料を入れて味をみた。
「なるほど〜
少しピリッとするけど、これはクセになる味かもしれない。
ふむふむ……最後に塩胡椒で味を整えて、と」
ここに、オフェーリア初めての【かれー】が出来上がった。
ちなみにこれはどちらかと言えばサラサラのスープに近いものだ。
「パンをつけて食べてもいいけど、ライスと合わせればもっと美味しいと」
オフェーリアはレシピ表に添え書きされたアドバイスに目を走らせていた。
なんちゃってカレーレシピです。
細かいツッコミは無し、ということでお願いします。