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『商業ギルド』

 どこのギルドも基本同じ造りなのだろう。

 扉を開けて入るとかなりの広さのホールになっていて、その奥に職員が居並ぶカウンターがあるのだが、今その前は行列ができていて、さらにその行列に並んでいるものたちが小さなグループになって話している。

 それが徐々にヒートアップして、中には相手の襟首を掴んで怒鳴っているものもいる。

 この混乱に輪をかけているのはそこかしこに置かれた木箱などだろう。

 壁際などは積み重ねられた木箱で壁自体が見えないほどになっていた。


「……お邪魔しましたー」


 商業ギルドに入って3歩歩いたオフェーリアは、回れ右して出ていこうとしたのだがフードの首根っこの部分を掴まれて、動けなくなった。


「何か、御用?おちびちゃん」


 ゆっくりと振り向いてみると、眼鏡をかけたきれいなお姉さんが笑みを浮かべていた。



「あの……お忙しそうなので、いいです」


 オフェーリアはそのまま出ていこうとしたのだが、ローブを掴んだお姉さんは離してくれない。


「大丈夫です。私は空いてますから」


 有無を言わせない迫力にオフェーリアは様子を探りながら言った。


「商業ギルドに登録しにきたんです。

 ギルドに登録するのはこれが初めてなんですが、大丈夫ですか?」


 そしてここには門兵に連れてきてもらった事を説明すると、きれいなお姉さんはカウンターの端っこにあるブースに案内してくれた。


「改めて初めまして、こんにちは。

 私はナタリア、カウンターにいる職員の取りまとめのような仕事をしているわ。

 で、あなたにはこの用紙に名前のほか必要事項を書き込んでもらうのだけど……字は書けるわね?」


「はい」


 目の前に出された雑紙に新たな名前【フェリア】と書いて止まってしまった。

 実はオフェーリアは、自分の新たな設定を考えていなかった。

 下手にプロフィールを作ると嘘がバレた時に問題だからだ。

 なので門兵にした設定で押し通すことにした。


「どうしたの?」


 オフェーリアの、ペンを持つ手が止まってしばらく、不審に思ったナタリアが話しかけてきた。


「あの、住所がわかりません」


 幸いにもナタリアはいいように誤解してくれたようだ。

 だが、冒険者ギルドならともかく商業ギルドではそれは通らない。


「そう、困ったわね。

 ここ商業ギルドは冒険者ギルドと違って直接商品を扱うでしょう?

 どうしても“信用”というものが必要なのよ。

 だから最低限」


「これじゃあ、ダメですか?」


 話を遮られて、一瞬ムッとしたナタリアはそれを見て言葉を失った。

 目の前の少女?がずらしたローブの中から“尖った耳”が覗いている。


「エ、エルフ……」


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