『【ぼくちゃん】とお肉』
オフェーリアとしては【ぼくちゃん】が魔獣を屠ることに思うことがないと言えば嘘になる。
【ぼくちゃん】も一応魔獣なのであまり屠ることに楽しみを見出してもらいたくないのだが、そのあたりはダグルも弁えているようだ。
「【ぼくちゃん】ずいぶんと慣れてきたようね。
この大鼠は【ぼくちゃん】が大好物の干し肉にするね」
この狩りでは無駄に命を屠ったのではないと、ちゃんと命をいただくのだと言い聞かせる。
【ぼくちゃん】も朧げながらわかっていたようで、神妙な顔で頷いてくれた。
「私たちは魔獣が増えすぎないように、常に間引いていかなくてはならないの。
でもその命は無駄にしないわ。
食べられる魔獣のお肉は食べるし、そうでない魔獣は素材として役にたつの」
オフェーリアは【ぼくちゃん】にもわかるように噛んで含めるように説明していく。
ダンジョン産のユニーク魔獣である【ぼくちゃん】だが、今はもう誰も魔獣扱いはしていない。
「今、ここにはいないけど、あっちのダンジョンに“オーク”がいるでしょう?
あれはちょっと強くて厄介な魔獣だけど、とっても美味しいでしょ?」
オークのカツは【ぼくちゃん】の大好物のひとつだ。
「ひき肉にして、ミノタウロスのひき肉と捏ねて、“ハンバーグ”にしてもいいよね?」
“ハンバーグ”と聞いた【ぼくちゃん】のテンションが爆上がりする。
今夜の夕食はハンバーグが良さそうだ。
「次は角兎に行くわよ。
角兎は【ぼくちゃん】の大好きな“兎のシチュー”になるわね」
肉がホロホロ崩れるほど柔らかく煮込まれたブラウンシチュー。
涎が垂れてきそうだ。