『小さな冒険者』
ダンジョン島、いやダンジョン諸島の中のひとつの島に降り立ったオフェーリアはあたりを見回していた。
ここは慣れたダンジョンがある島ではなく、今までダグルたちが探検して危険がないことを確かめた、【ぼくちゃん】のための、島ひとつが丸々遊び場なのだ。
今回はここに野営場を設け探検ごっこをするつもりだ。
通称【ぼくちゃん】島。
こじんまりとした島だが小さなダンジョンがあって、ここはダグルたちによって攻略されている。
今は適度に魔獣(角兎やゴブリン、フォレストウルフなど)を供給してくれる場なのだ。
「私はここは初めてなのでダグルに指揮を任せるわ。
そのかわり食事は任せておいて!」
オフェーリアのその言葉に兵たちの士気が上がる。
そしてゲルが出されていき食事用のテーブルと椅子も設えられて、野営の準備が始まった。
「ではフェリア様、俺たちは小ダンジョンの様子を見て参ります。
【ぼくちゃん】明日は連れてってやるからな。
今日は我慢してくれな」
「キュ!」
【ぼくちゃん】は良いお返事と共に頷いた。
理不尽なこと以外は素直なところが【ぼくちゃん】の美点だ。
ダグルたちが出かけていった後、【ぼくちゃん】はままから初めての武器をプレゼントされた。
「色々迷ったんだけどね、一番基本的な武器である“メイス”にしたわ」
【ぼくちゃん】に合わせて小ぶりなメイスだが、色々な機能が付与されている。
まずは重量軽減。
威力増大、使用者固定、氷属性付与、オフェーリアの過保護さがパワーアップしている。
「こうやって持つのよ。ええ、上手ね。
ゆっくりと振ってみようか……うん、大丈夫ね」
小さな冒険者の出来上がりだ。