『オフェーリアの怒り』
オフェーリアのエアカッターが騎士たちを切り裂いた。
だがこの“命令”を出したものを聞き出さなければならないので殺してしまうわけにはいかない。
なので命に関わるギリギリだが、もう2度と騎士には戻れないよう、四肢を欠損もしくは脊髄を傷つけて身体の自由を奪っていく。
さらにご丁寧に切断面を治癒してしまい、たとえ神官の最高魔法でも切断された部位を接着出来なくした。
「フェリア様!」
「ままぁー」
上空から一気に着地したオフェーリアは普段着の柔らかな生地の長衣を着ている。
その容貌はさすがに森の妖精と例えられるエルフの上位種とされている魔法族の姫として、精霊じみて見える。
その竜神族の王の妃が、刃が蒼く光るシミターを持って【ぼくちゃん】たちを守るように騎士たちの前に立ち塞がった。
小柄だが、実力者である騎士たちが見れば、その闘気は本物でかなりの使い手だというのがわかる。さらにオフェーリアは“魔法使い”なのだ。
敵の首など簡単に落としてしまえるのは、自分たちの切り落とされた腕を見ればよくわかるはずだ。
「ここは離宮の敷地内の森のはずね。
なぜこんな“曲者”がいるのかしら?」
蒼い刃がヒュンと風を切り、今対峙している騎士の首元に突きつけられた。
その刃先が僅かに傷を作っている。
それでも騎士は一言も発しない。
「そうやって口をつぐんでいればいいわ。
そして魔法族の拷問法をその身で体験してみることね」
それを聞いた護衛隊の皆の顔色が悪くなる。
中には脂汗を滝のように流し、震えているものもいる。
そんななか、突然オフェーリアは騎士を蹴り飛ばし抵抗の自由を奪うと、すでに武器を持たない騎士の中指を一本、関節とは逆に折り曲げた。
ポキン。
「ギャァー!!」
腹這いに転がされた騎士の背中をオフェーリアが踏みつけている。本来なら小柄なオフェーリアが相手なのだ、簡単にはねのけられるはずがびくともしない。
そしてまるで作業のように騎士の指を折った。
その様子を30数名の騎士たちは目撃し、さらにその先を見せつけられることになる。
「ヒール」
折れた指を戻しながら治癒魔法をかけて、また折る。
「ぎゃーーっ!」
再びあがる悲鳴のなか、オフェーリアは肘の関節を反対側に捻った。
「グワァーッ」
本来、普通の拷問は一度痛めつけた部位はそのままだが、オフェーリアなら治癒させて何度も繰り返すことができる。
今回のオフェーリアに一切の慈悲はない。