表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/617

『老害の最期』

「とりあえず、立ってちょうだい。

 そしてどこか、お話しの出来るところに移りましょう」


「ええ、ではあちらの茶店などいかがです?」


 どこまでも私心が先にくる、残念な男である。


「私は構わないけど……

 帰りは荷物が多いかもよ?」


 何を誤解しているのか喜んでいるクロードに手をとられて、オフェーリアは小洒落た茶店に入っていった。


「まずは改めて、久しぶりねクロード」


 奥まった場所に席を決めて腰を下ろし、再会を喜び合う。


「息災でおられた様子。

 まずは重畳ですな」


「今回はしばらく滞在するつもりよ。

 ダンジョンにももぐるし、採取もしたいの」


「それはそれは」


 クロードは目を細めて笑顔を見せている。


「その前に、クロードにお願いがあるの。

 もう憲兵隊と防衛隊には渡してあるのだけど、新しいポーションを持ってきたのよ。

 クロードにはそれを鑑定して、値をつけて欲しいの」


「わかりました。

 その新しいポーション、楽しみですね」


「ところで、あの糞爺たちはもう残っていないのね?」


「ええ、老害どもはpreciousがこの地を発って間無しに皆、この世を去りました。

 中でも、前々ギルド長だった爺は怒り狂った冒険者たちに嬲り殺しにされ、いやー、溜飲が下がりました」


 オフェーリアが前回この町に滞在した時、彼女が提供するポーションの利権を狙って煩く言ってきた、当時この町を実質的に治めていた老人たちがいた。

 それに辟易したオフェーリアが突然出奔し、ポーションの供給を断たれた冒険者たちは激怒した。

 当然その怒りは元凶である老人たちに向く。

 4名いた彼らは相次いで病に倒れ(ということになっている)最後のひとりはダンジョンの中で、痛ましい姿で発見されたのだ。


「なのでこの度は思うように卸していただいてよろしいのですよ」


 再び、にっこりと笑ったクロードの胸の中には別の思いもある。

 実は前年の秋ごろから、ダンジョンの魔獣の動きが激しくなってきているのだ。

 この冬はダンジョンから溢れた魔獣が森に住み着き、危険度がぐっと上がってしまっていた。

 そこにポーションが大量に流通したら、冒険者たちは怪我を恐れることなく討伐に明け暮れることができるだろう。


 クロードは早く新製品を見たくてうずうずしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ