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『海』

「よし!準備はいいか?

 しっかりつかまっていろよ!!」


 ダンジョン村の縦穴の中、騎獣である飛竜がマティアスをはじめとする兵士たちを乗せ、それぞれが気合い十分羽を動かしている。


「キュ」


 そのマティアスの2人乗りの鞍の前部には【ぼくちゃん】がいて、ワクワク感いっぱいに目を輝かせていた。


「【ぼくちゃん】〜

 ママもすぐ横を飛んでいくからね。

 心配しないでー」


 一方オフェーリアは今回、自力で飛んでいくことになった。これはオフェーリアの分の飛竜を他の兵士に回すのと、常に【ぼくちゃん】の近くにいて彼の不安を取り除くためなのが大きい。


「キュキュー!」


 すっかりご機嫌な【ぼくちゃん】はマティアスの手で命綱に繋がれ、何度もその強度をチェックされている。

 ただ、もしものことがあってもすぐそばにオフェーリアがいるのでおそらく大事になることはない。

 オフェーリアが自ら【飛行】していくのは、そんなもしもな事態に完璧に対処するためでもあるのだ。



 飛竜が飛び立ち、すぐに見えてきた海に【ぼくちゃん】は目を奪われていた。

 ダンジョン島でも半日ほど歩けば海が見える断崖に行くことができるが、今までダグルたちは慎重にそれを避けていた。

 なので今日初めて海を、それも上空から見たのだ。

 その色、その景色、その雄大さ。

【ぼくちゃん】は一言も発せずただ海に見入っていた。


「どう?【ぼくちゃん】びっくりした?」


 少し離れて飛んでいたオフェーリアが飛竜の下を回り込んで、すぐ近くにその身を寄せた。


「キュウ〜〜」


 オフェーリアに名を呼ばれて我に返った【ぼくちゃん】が返事をする。だがそれは何かを問いかけているようだ。


「う〜ん、そうね……今度浜遊びにいきましょう。その時に色々【ぼくちゃん】が知りたいことも教えてあげられると思うの」


 “浜遊び”とはどんなものかわからないが、何やら胸躍る言葉である。

【ぼくちゃん】はまた目を輝かせた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 何度も思うけど ぼくちゃんが尊い
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