『宴のあとは……』
ニ昼夜続いた祝いの宴が終わり、オフェーリアは今回声がけした各都市を回ることにした。
まずはビドーだ。
ここは外部勢力からの攻撃に晒されていたが、今回オフェーリアが訪ねた時にはほとんどが終わっており、この時をもって大学院と行政府に張っていた結界を解いた。
「フェリア殿」
「こんにちは、アグジェント。
どうやらこちらも片付いたようなので結界を解除したわ。
お疲れ様だったわね」
「なんの、ほとんどすべてをフェリア殿に御膳立てしていただいたのです。
それよりもこうしてここにいらっしゃるということは……」
「ええ、首尾よく手に入れることができたわ。
もう【アムリタ】も調薬して使用したの」
「それはようございました」
アグジェントはニコニコしているが、それでも隠せない疲労はこの間の激務を物語っている。
「それでね。あなたには色々お世話になったからこれを差し上げようと思って」
オフェーリアは異空間収納から小瓶をひとつ取り出した。
「これ【ツブネラアロン】です。
採取してすぐに異空間収納に入れたので劣化は始まってません。
もしよかったら【アムリタ】を調薬してみてください」
「よろしいのですか?
こんな貴重なものを……ありがとうございます」
ビドー大学院の重鎮であるアグジェントであっても、なかなか手に入らない貴重な品だ。
彼は恐縮しながらも小瓶を受け取り、それを覗き込んだ。
「採取してすぐに異空間収納に仕舞いました。
アグジェントも時間経過無しのアイテムボックスに保管すればいつでもつかえるわよ」
「フェリア殿、恩にきます」
「こちらこそ貴重な情報をいただいて、大変重宝しました。
これからも良い関係で居られれば良いと思います」
この後オフェーリアは他の町も訪問し依頼を取り消したりした。
その時ある町では【ツブネラアロン】や【アムリタ】のストックを疑われ、オークションへの出品を懇願されたり、またある町では火竜を売って欲しいと泣きつかれたりで大変だった。