表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
580/617

『学士フェリア』

「一番近い村と野営、どちらがいい?」


「できれば宿屋で休ませた方がいいだろうが……」


 ミュールとアルフが話し合っている間、あとの2人の冒険者がオフェーリアの様子を見ている。


「あの……」


 お茶を飲み終わったオフェーリアがカップを返して、上目遣いで冒険者を見上げた。


「助けてくださってありがとうございます」


「話して大丈夫かい?無理しなくていいよ」


「そうだよ。お茶、もう一杯どう?」


 毛皮の縁取りのついたフードはかぶったままだが、その顔は目を離すことが困難なほど整っている。


「いえ、十分暖まりました」


 後ろの荷物にもたれかかっていたオフェーリアは姿勢を正して座り直した。


「あの、本当に助かりました。

 これからどうしたらよいのか……動く気力も湧かずに座り込んでいたらだんだんと眠くなっていって」


「おいおい、それはかなりヤバいだろう」


 止まったついでに馬を休ませていたミュールたちが後ろの荷台でのやり取りに気づいてやってきた。


「よかった。大分顔色も良くなったね」


「この馬車の持ち主の方ですか?

 助けていただいてありがとうございます。

 私はビドー大学院の学士、フェリアと申します」


「何と学者さんかね!

 失礼だが子供かと思いましたよ」


 ミュールが真面目にびっくりしている。


「まぁ……こんななりなので、よく間違われます」


 オフェーリアは苦笑してフードを下ろした。

 そして乱れた髪をかき上げると特徴的な耳が現れる。


「エ、エルフ」


「!!」


「ふぁ〜」


「初めて見た……」


 どちらにしてもいつもの反応である。

 しばらくして我に返ったミュールが、なぜこんなところにいたのかを聞いてきた。


「実は私、研究のためある素材を探していまして。

 今日はこの先にある村で宿をとろうと馬を走らせていたのです。

 それが突然馬が暴れ出して振り落とされて……あとはご存知の通りです。

 落馬した時の怪我はポーションを飲んで治しました」


「それは災難だったな」


「なるほど、それで地面が荒れていたのか」


 どうやらオフェーリアが施した偽装はバレていないようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ