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『売り込み』

 憲兵隊詰所を出たオフェーリアは、本来の目的地である商業ギルドに向かった。

 フランシスが最後まで同行すると煩かったが、何とか言い含めて、ひとりでやって来たのだ。


「私はフェリアと言います。

 クロードを呼んで下さる?」


 突然やってきた女の子がギルド長を呼び捨てにして、会いたいと言う。

 金髪と紫の目の美少女はどこかギルド長に似ているような気もするが。


「申し訳ないのですが、お約束がなければギルド長にはお会いできません。

 よろしければ予約を入れましょうか?」


「予約?」


 オフェーリアは少し考える素振りを見せた。


「今日はいいです。お邪魔しました」


 どうせ、放っておいても訪ねてくるのはわかっている。



 今度は防衛隊本部にやってきたオフェーリアは、昨日顔見知りになった兵士から下にも置かぬ出迎えを受けた。

 そして隊長の執務室に案内された。


「おはよう、ダルタン。

 今日から厄介になるわね。

 さっそくだけど……」


 フランシスのところでした話を繰り返し、現物を取り出したオフェーリアはそれをダルタンに渡した。

 一緒に話を聞いていた副官のベールは目を見開いて見入っている。


「こちらはサンプルとして提供します。

 まあ、こんなのは使われない方がいいのだけれどね」


 少し湿っぽくなったあとは御用聞きである。


「以前はポーションと傷薬くらいしかなかったけど、今は色々とあるのよ?」


「ほう、どんなのがあるんですか?

 姉御」


「最初から説明するわね。

 まず、かすり傷でもこの傷薬を塗ると化膿しにくくなるわ。

 本当は傷口を清潔な水で洗えればいいのだけどね」


 この町の命綱でもあるダンジョンでそれを求めるのは難しい。


「次は簡易ポーションと私は呼んでいるのだけど、骨折や内臓の損傷を伴わない、剣による切り傷、引っ掻き傷、噛み傷に効くわ。

 今までのポーションより効果は落ちるけどその分安価で売れるの。

 これならポーションを使うのを躊躇せずにすむわ。

 そしてより重傷向けのポーションも作ってみたの。

 これは今までのポーションでは治せきれなかった傷……例えば開放骨折や粉砕骨折なんかも治癒できるの」


「おお、それは凄い。

 いや、簡易ポーションも値段次第では広く売り出すことができるかもしれない」


「簡易ポーションは、ポーションの半分以下……三分の一くらいを考えているの。

 今、この町の相場はいくらくらい?」


「金貨5枚くらいか?」


「元々それほど数のあるものではありませんから、もう少し値上がりしているかと」


 防衛隊の財政面を担当しているベールがダルタンの替わりに答えた。


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