『【ツブネラアロン】の記録』
「3年前のちょうど今頃、北部辺境山間部の村々を回る行商人が村人から買い取り、ここに持ち込んだようですね」
「なるほど、それ以上詳しい記録はないのでしょうか?
もしなければその行商の方と会うことは可能ですか?」
「本来なら駄目なんですがね、何か考えてみましょう。ただ拒否された場合と行商に出ている場合は納得してもらえますか?」
「ええ、もちろん」
オフェーリアは即答した。
このようなケースの場合、ギルド側が情報提供をしてくれるのは非常に珍しい。
彼は口にしないがおそらく【ツブネラアロン】がどのようなものか知っており、個人的興味か使命感かはわからないが便宜を図ってくれたのだろう。
「一応その時行商が回った地域と村々の位置が記録してあります。
……これは差し上げることはできませんが、メモをとるくらいなら許可できますよ。
その間に僕はもう少し古い記録を探してみましょう」
ルーは親切に古い記録を掘り出してくれたが3年前の件に優る記録はなかった。
オフェーリアも目を通してみたがほとんどが売買記録のみが残っているだけだ。
「3年前の行商人、名はランと言いますが直近の消息は商人ギルドに行って聞いた方が確実でしょう。
合わせて【ツブネラアロン】のことも教えてもらえるように紹介状を書きましょう」
「何から何までご配慮ありがとうございます」
オフェーリアは少し考えて、ここのギルドへの礼代わりに何か利益率の高いものを提供しようと思いつく。