『冒険者ギルド、鑑定士ルー』
首都マノンの冒険者ギルドのベテラン職員、ナターシャは見慣れない少女の担当となり机越しに対面した。
毛皮の縁取りのあるクリーム色のローブを着てフードは下ろしている。
整った顔に紫色の瞳、そして豪奢な金色の髪に隠れた耳にナターシャは気づいてしまった。
そして情報の提供を求めてきたのは【ツブネラアロン】
この辺境国バロアでもさらに辺境の北部の山地でごく稀に採取されることのある、半ばお伽話の世界の素材だ。
彼女は、年だけ重ねているが自分ではどうにもならないと悟り、代わりの者を探しにいく。
これは最低でも鑑定士かできればギルド長、副ギルド長に話を持っていくしかない。
ちょうど運良く鑑定士のルーがいたので説明すると快く受けてもらえることになった。
少女?には悪いがまた移動してもらうことになる。
「こんにちは。
あちこち移動してもらって悪かったね。
僕はルー、ここで鑑定士をしています」
どうやら魔法族もしくはエルフの血を引くもののようだ。
ただそれは【鑑定】のみで、その身に流れる血はかなり薄くなっているようだ。
「私は先祖返りなんですよ。
直近5代前まで遡ってもエルフの先祖は出てこない。
かなり前に混血したみたいですね」
たしかに見た目は人族そのものだ。じんわりと質の良い魔力を感じるが、それは【鑑定】に特化したのだろう。
「私はフェリア、この度は迷惑をかけます」
「何の、久しぶりに聞きましたよ、【ツブネラアロン】
ざんねんながら今ここにはありませんが3年ほど前に持ち込まれた時の記録がありますのでそちらを見ていただきましょう」
そう言ってルーは立ち上がり、オフェーリアを資料室に案内するのだった。