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『閉ざされる町』

「なぁフェリア、本当に大丈夫なのか?」


 パンをもらって夢中な【ぼくちゃん】はさておきマティアスは不安そうだ。


「うん、今は完全に足留めになってるね。

 それに多分あれはあの町だけではないだろうから目的地に辿り着くまでちょっと時間がかかるかな。

 それに北部はもっと酷いことになってるかもしれない」


 季節が冬から春への移行時期だったのも痛かった。もう少しで出回るはずの春野菜やその先の小麦の収穫もほぼ絶望的だろう。


「町や村が全滅しても驚かないわ。

 むしろこれからどうやって民を食べさせていくか、私には想像もつかない」


「フェリア……」


「上空に上がって見たところ降雪はこれからもしばらく続くわ。

 見通しが立たないから一度戻って来るのもアリかもしれないわね」


「フェリア、絶対に無茶だけはしないでくれ」


 マティアスにとって、オフェーリアがどれだけ規格外であっても大切な妻には変わりないのだ。


「もちろんよ。ちゃんと引き際は弁えているわ」


 マティアスと抱き合い、次に【ぼくちゃん】を抱きしめる。




 オフェーリアがゲルから出て目にしたのは結界越しに見た外の様子だ。

 それは吹雪によって真っ白で、屋根と同じように角度をつけていなければ結界の上にも積もっていただろう。


「これは……」


「この町でも滅多にない積雪量だ。

 この先雪下ろしができなければヤバいことになる」


「ここに張った結界はたとえ周りが全部埋まるほど降っても大丈夫だけど、他はそういうわけにもいかないわよね」


 結界で遮断されているので吹き荒ぶ風の音も聴こえてこないが、結界にあたる雪の勢いは相当なものだ。

 町を守る兵士であるジョーンズも怯えている。


「とりあえずここは結界があるから大丈夫よ」


 彼が怯えるのには訳があった。

 先日避難してきた同僚たちが次々と熱を出して寝込んでいるのだ。

 それは隊長も含めて無事なものは皆無ということであり……。


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