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『流行り風邪?』

 ゲルの中はその外から見たよりも空間が拡張されている。

 その中を3つに区切り、まずは発熱した老人の寝室にした。

 あとは残りの者たちの寝室と居間になる。

 オフェーリアは患者だけでなく彼らにも薬湯を与えて様子を見ることにしたのだ。


「流行り風邪じゃなかったらいいんだけど」


 普通の風邪と流行り風邪とはその質の悪さが違う。流行り風邪の死亡率は老人や子供を主にして、広がるとあっという間に犠牲者を出す。

 オフェーリアは予防的に飲ませる薬と特効薬を作るために、一度ゲルに戻ることにした。

 このあと出来上がった薬を持って病室ゲルに戻って、老人たちがここに連れてこられるまでの過酷な体験を聞いた。

 食料も薪ももうギリギリで、最後の日は外と変わらないような寒さの中、具のない塩味の湯を飲んだだけだったそうだ。



 ジョーンズたちが僅かに雪の勢いが削がれた時を縫って出かけていった。

 そしてあっという間に戻ってきた時、その手には8人の老人たちを連れ帰ってきた。

 今回は荷物も何もなしで、まさに身ひとつで“救出”してきたのだ。

 そして彼らが本当の最後だ。

 このあとは板で扉を塞ぎ、オフェーリアの結界で閉じてしまうのだ。ただ、一応窓に作った隙間から外を窺うことができるようになっている。

 こうしてこのまま寒気が去って人々の活動が再開するまでこの宿は篭るつもりだ。



「おい!ジョーンズ!!聞こえているか?!

 俺だ、入れてくれ!!」


 オフェーリアが結界を張る直前、おもむろに扉を叩かれ聞きなれた声がジョーンズを呼んでいる。

 慌てて今打ちつけたばかりの板を剥ぐと、そこには見知った顔が並んでいた。


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