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『今後のこと』

 今朝は風の勢いも幾分マシで雪が斜めに吹き付けてくることはなかったが、その分積もるのは早く、通りでは男たちが雪かきをしている姿があった。

 夜の間目張りされていた扉が開かれ、冷たい空気が入ってくる中、簡単に朝食を摂ったジョーンズが一歩一歩踏みしめるようにして門に向かう。

 そして彼は2刻ほどあと、ずいぶんと重い足取りで帰ってきた。

 その彼が聞かされてきたのは大きく分けて2つ。

 ひとつはまだ確実ではないが今朝までの被害者のことだ。

 これに関しては昨日、本当にギリギリな町人(ボンズのような中流以下の主に独居老人など)は避難させたのでそれほど酷いことになっていない筈だ。

 ここは国境の重要な町だが元々人口は多くない。なので憲兵などはほとんどの町人と顔見知りだし、町人同士もそうだ。

 なのでそれなりに目が行き届いていて今のところ凍死や餓死の報告は入っていない。

 もうひとつはひとつ目の件と関係するのだが、行政が昨日以上の避難を決めたそうだ。

 何しろあちこちで薪不足が起きており、ボンズたちのように知人同士が集まって薪や食料を共用している家はかなりの数あるそうだ。


「うちは顔見知りを優先して受け入れることを認めてもらった。

 今も何軒か声をかけてきたから今日中にはウチも満員に近くなるだろうな」


「そう、よければ私の部屋も空けるわよ。

 私は野営用のゲルを持っているし」


 案外これからはその方がいいかもしれない。

 おそらくこれ以上人が増えるとある程度の喧騒も覚悟することになるだろう。それにどうせ結界を張るのだ。


「そんな、部屋代ももらっているし色々配慮もしてもらっているのに」


 いつの間にか主人と女将がオフェーリアとジョーンズの話を聞いていたようだ。

 彼らは部屋代の返還とともに幾ばくかの礼も考えていた。


「そっちの話はあとでいいわ。

 それより人手よね」


 今この宿にいるのは宿側が主人と女将そしてジョーンズだ。

 本来なら通いの従業員が3名いるのだが、一昨日オフェーリアと入れ替わるように出勤していない。おそらくそれぞれの家や実家がこの寒波で大変なのだろう。女将たちもこのへんの事情は酌量している

 そしてオフェーリアと最初からの宿泊客である商人が3名。今彼らは率先して雪かきなどを行なってくれていた。

 そしてあとは昨日夜までにジョーンズが回収してきた老人たち11名。

 彼、彼女らはとりあえず暖かい部屋で暖かい食事をして休んでもらっているが今朝一番から手伝いを申し出ている婦人もいた。


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