表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/617

『旧交を温める』

 そそくさと出ていこうとしていたオフェーリアはダルタンによって物理的に引き留められた。


 憲兵隊長のフランシスと防衛隊長のダルタンにとってオフェーリアは、自身の命を救った大恩人である。

 特にダルタンは自分だけではなく、指揮していた分隊の部下たちの命も結果的には救命された。

 そんな、この町に多大な貢献をしたはずの彼女は、そのあとつまらないゴタゴタに巻き込まれ、嫌になって出奔した。

 ……これはこの町に来る前と同じ状況のようだ。


「で?

 あのクソジジイたちはまだ生きてるの?」


 オフェーリアが聞いたのはそのゴタゴタの元凶だった、当時この町の有力者だった者たちの現在だ。


「あ〜

 結論から言うと、いません。

 全員とっくに棺桶の中です」


「そう、それならしばらくここに居ても良さそうね」


 オフェーリアの呟きを聞いたむさ苦しい大男2人が、喜びのあまりガッツポーズをしている。



「さっきも言ったけど、私、宿をとりに行ってくるわ」


「え?

 姉御、ぜひうちに滞在して下さいよ」


「いや、俺のところに」


 また2人が言い合いをしている。


「アリシアも喜ぶと思います。

 あいつ、あの後ずいぶん凹んでいたんですよ」


「おお!

 フランシスとアリシア、結婚したんだ!」


 当時、ふたりは付き合い始めで、ずいぶんと初々しかった覚えがある。

 オフェーリアは自分は色恋にまったくうといのに、一生懸命応援していたのだ。


「う〜ん、今夜のところはフランシスのところで厄介になるかな。

 そこ!ダルタン、そんなしょげた顔しない!

 ちゃんとあんたのところにも行くから。

 ところであんたたちの家には馬車一台分くらいの空き地はあるかな?」


「俺ん家は通の家政婦しかいないから、庭はそのまんまだし、馬車なら2台は問題ない」


 そう言ったのは、悲しい独身のダルタンだ。

 だが今回はそれが幸いした。


「うちは残念ながら……」


 アリシアの花好きは当時から有名だった。

 何しろプロポーズの言葉には『君のためのフラワーガーデンが云々』という言葉が含まれていたほどなのだ。


「とりあえず商業ギルドに顔を出してくるよ。

 あそこにも顔見知りが残ってるのかしら」


「クロードがギルド長で残ってます。

 でも今日はやめておきましょうよ。

 明日、お供しますから」


 フランシスは何やら含みのある様子である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ