『雪だるま?』
「うぉー!!」
宿の扉を足で蹴って開けて入ってきたのは、動く雪の塊のようなものだった。
それが叫び声をあげている。
すわ!雪の魔獣が現れたかと、食堂にいた元々の宿泊客が身構えた。
そんなとき雪の塊が頭?を振るとボトボトと雪が落ち、その中からジョーンズの顔が現れた。
「誰か!手伝ってくれ!」
異常に膨らんだ腕のあたりがモゾモゾと動いている。
宿泊客らが慌てて近寄ると、小型の塊がボソリと落ちた。
それがゴソゴソと動いて、客らは慌てて雪を掻き分けた。
「!!」
厨房から出てきた主人とオフェーリアはその塊から手が出て自らの頭部?の雪を叩き落とし始めたのを見た。
それは、ひとつは見る見る間に老爺の姿をとり、もうひとつからも老婆が現れた。
「サムプ!ジュエイン!!」
腰が抜けたようにへたり込んだ2人から雪を払ってやる。
そして片やジョーンズの方は雪を払ってみると背中に何か背負っている。
「早く爺さんを降ろしてやってくれ!」
素早く雪をはたき落とすと、ジョーンズの背中にシーツでくくりつけられた老爺が現れた。
「ボンズ爺、大丈夫か?」
どうやら彼が宿泊を依頼していた老爺のようだ。
きつく締められていたシーツは剣で切られようやく老爺は解放された。
今2人の老爺と老婆ひとりは暖炉に近い席で熱々のスープを食していた。
そしてその傍らでは新たに支度を整えたジョーンズが次の避難客の元に向かおうとしていた。
「ジョーンズ、待って!
これ、食べてって!!」
いくら今は火照っていても芯は冷えているはずだ。
ジョーンズは結局1人を背負って、あと2人はそれぞれ腕に抱えて連れてきていた。
サムプとジュエインはすでに自宅の薪を使い果たし、近所の普段から懇意にしていたボンズのところに避難してきたのだが、こちらでも薪はほとんどなかった。
しかしボンズは宿に避難するつもりだったので2人を一緒に連れてきたのだ(ジョーンズが)




