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『宿屋の息子』

 オフェーリアにあてがわれた部屋は広くもなく狭くもない平均的な部屋だった。

 この宿屋の建物自体はいささか古めだが、内部の造りはしっかりしている。

 そして長期滞在が考えられているのかベッドのほかに書物机と椅子、それに作り付けのクローゼットまである。

 さらにトイレと洗面台まであって女性の旅人も満足する設備だ。



 夕食までの時間は彼方此方に転移していたのであっという間だった。

 ローブを脱いだその下のいつものレギンスとチュニック姿で階下に降りると3つほどのテーブルに客がいた。

 そのうちの1人には見覚えがある。

 私服に着替えているが、彼はこの宿を紹介してくれた兵士に間違いない。


「やあ、いっしょにどうだい?」


 一気に砕けた話し方になった彼は立ち上がって椅子を引いた。


「ええ、せっかくだからお言葉に甘えようかしら」


 2人でひとつのテーブルにつき、料理を待つ。

 ここの夕食のシステムはお任せの1種類らしい。


「何気取ってるんだよ。

 自分のテーブルのカトラリーくらいセットしな」


 ツカツカと近づいてきた女将が目の前の男の後ろ襟をぐいと持ち上げた。

 オフェーリアがその状況に目を丸くしていると女将が照れたように笑んだ。


「すみませんねぇ、うちのドラ息子が何のつもりなのか」


「いや、ちょっと話してみたかっただけだし。

 ナンパしてるわけじゃないからね?」


 まるでコントのような親子の掛け合いに思わず吹き出してしまったオフェーリアに男は少しバツが悪そうだ。


「私がひとりなので、きっと気を遣ってくださったのでしょう。

 本当にありがたいことです」


 この女将より完全に年上なオフェーリアは気遣いのできる女なのだ。


「で、何が聞きたいの?」



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