『お祝い』
特別なデザートはさすがに間に合わないので、オフェーリアは先日訪れたばかりの都に転移した。
そこの、女王御用達の高級菓子店でスペシャルなデザートを購入するとまたダンジョン村に蜻蛉返りする。
「キュキュー?」
「ただいま、これから夕餉の支度をするから【ぼくちゃん】はマティアスといっしょにいてね」
今夜はすべて【ぼくちゃん】の好物にするつもりだ。そして映えあるはじめての獲物である角兎だが、すでにダグルが解体を始めていてこの後じっくりと熟成させる予定だ。
「さーて、気合いを入れて作るわよ!」
まず最初に出されたのは【ぼくちゃん】がアク取りのお手伝いをした鶏ガラスープをベースにしたスープだ。
それで冬瓜を煮込み、スープのコクを生かすことにした。味付けは塩のみ。
「【ぼくちゃん】凄くおいしいよ。
またお手伝いしてね」
「キュー!」
次はかぼちゃが丸々一個供された。
よく見ると上部が蓋状に切られていてわざわざ元に戻してあるようだ。
オーブンでこんがり焼かれているが、これをどうやって食べるのかマティアスなどは戸惑っている。
「【ぼくちゃん】のは私がカットしてあげるね」
オフェーリアは肉料理などをサーブするときに使うナイフとフォークを取り上げた。
まずは蓋を取る。すると食欲をそそる良い匂いがする。
「キュキュ?」
櫛切りしていくとその断面から肉汁が溢れ出て、【ぼくちゃん】が歓声をあげている。
仕上げにオーロラソースをかけて出来上がりだ。
「これは……かぼちゃにハンバーグの種を詰めてあるのか?」
「ご名答!
マティアスのもカットしてあげるわね」
マティアスの皿にはかぼちゃが3個のっている。