『オフェーリアの料理教室?』
「無理させない方がよいわよ?
私はあと一日二日遅れても気にしないから」
3人の男たちが申し訳なさそうに頭を下げた。
竜はすっかり元気そうに見えたが、低体温は後からクることが多い。
こうして4人で話し合ってこの野営地でもう一泊することになった。
「まあ、食材のストックはたくさんあるし問題ないわ。
皆さんは手持ち無沙汰かもしれないけど、できれば外には出ない方がいいと思う」
前回の野営地と違って雪はないのだが、ここは人里離れた山地だ。
魔獣の気配もそこかしこにあり、戦うすべを持たない彼らが護衛もなく外に出るのは自殺行為に近い。
オフェーリア自身はこのあたりの植生に興味があったが、要らぬ揉め事を起こすつもりはないので大人しく料理することにした。
すると御者2人が声をかけてきた。
「お嬢さん、俺たちも手伝わせてもらえないだろうか。せめて竜のやつのスープぐらいは作ってやりたいんだ」
「まあ!お手伝いは大歓迎よ。
まずは野菜の皮むきなんだけど、お願いできるかしら。
まずはよーく手を洗ってちょうだい」
オフェーリアは彼らの目の前で異空間収納から樽に入った玉ねぎを取り出した。
「これの皮むきをお願いしたいの。
むき終わったのはボウルに入れてくれたら、いっぱいになったらあっちに入れるわ」
いつのまにか職員も加わって、男たちが玉ねぎと格闘し始めた。
カットしないので目をやられることはないが、皆おっかなびっくりである。
そんななかオフェーリアは魔導コンロを追加で出してそれぞれに大鍋をセットした。
その数8台。オフェーリアとしてはもう少し増やしたかったのだがこの人手ではこれが限界だろう。
まずは各鍋に水を注ぎ入れ湯を沸かす。
「せっかくだから、私オリジナルの玉ねぎスープを作ります。
時間はかかりますが絶対美味しいですからよかったら覚えて、自分でも作ってみてください」
それには大量の玉ねぎのみじん切りが必要だった。




