『調理日』
野営地に戻ってきたオフェーリアは大量のじゃがいもを取り出した。
そのじゃがいもについた土をひたすらきれいに洗っていく。
そして皮がついたまま大鍋で茹でる。
茹であがったじゃがいもは冷めないうちに、火傷をしないように手を強化して皮を剥いていく。
それをマッシャーで潰して、塩胡椒とマヨネーズを入れて混ぜるとポテトサラダのベースが出来上がり、粗熱を取るためにしばらく置いておく。
次はすぐに料理できるように解体された角兎の肉を取り出した。
これを丁寧にアクを取りながらゆっくりと煮込んでいく。
シチューではないのでソースの量はそれほどたくさんいらないが、オフェーリアは吟味した白ワインやトマトを使って味付けした。
付け合わせは人参のグラッセと塩茹でしたとうもろこし。
ついでにフライドポテトも作ってしまった。
これにはエールがよく合うが、どうするべきか。
オフェーリアは今日は料理をすると決めたので、思いつくまま、メニューも順番も関係なく作っては異空間収納にしまっていた。
「フェリア殿、ちょっとよろしいですか」
ここで職員が呼びかけている声が聞こえてきた。
普通結界は声を通さないのだが、オフェーリアの結界は任意で接触できるようにしてある。
「はい、なんでしょう」
気づくともう夕方である。
オフェーリアがゲルから顔を出すと職員だけでなく御者2人も揃っている。
「明日以降の事なんですが」
オフェーリアは結界越しに空を見上げた。
外は吹雪で視界はゼロに近い。
積雪もそれなりのようだ。
「お嬢さん、すまない。
明日も世話になりそうだ」
御者のひとりが帽子を取って頭を下げた。あとの2人もそれに続く。