表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
515/617

『乗客はひとりだけ?』

「えっと……

 これは一体どういうことでしょうか?」


 前回飛竜便に乗った時に知り合った若旦那たちに見送られ出発したオフェーリアだったが、その客車の中を見回して思わず呟いてしまった。


「どうかなさいましたか?」


 乗務員席で何かを読んでいた、先日も担当してくれていた職員が顔をあげた。


「いえ、この便の乗客は私だけなのですか?」


「ああ、そのことですか。

 そうです。この便はお客様おひとりですが、それが何か?」


 オフェーリアは開いた口が塞がらなかった。


「そんな……私ひとりのためにこの便を飛ばせたのですか?

 そんな非効率的なことを」


 薄っすらと笑んだ職員の男が立ち上がってオフェーリアの元に近づいてきた。


「お客様からはお高い運賃をいただいておりますしね、第一これから向かう町には復路便に乗る乗客の方々が待っておられます。

 なのでこの便はたとえ空でも出発致しましたよ」


 そう聞くと多少は納得するのだが何となく落ち着かない。

 こういったときは単純作業をして落ち着くべきだと、オフェーリアはレース編みの糸と編み針、そして編み図を取り出してドイリーを編むことにした。



 レース編みに夢中になっていたオフェーリアは、乗務員席で本を読んでいた職員が客車の外の竜に乗った御者と通話管で話していることに気づいた。


「?」


「お客様、もうすぐ落日なので、良さそうな場所を見つけて野営となります。

 着陸時に少々揺れると思いますのでご了承ください」


 離着陸については停留場ならば専門の係員がいるのだが、野営の場合はすべてを御者が行わなければならない。

 揺れが懸念されるのはそのためだった。


「そろそろ着陸ですね」


 飛竜が螺旋状のコースを取りながらゆっくりと降りていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まさかの貸し切りだなんて(*´罒`*)ねっ フェリアさん。残念だったのかな(*˘꒳˘*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ