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『高級宿』

 蜻蛉返りで宿に戻ってきたオフェーリアは軽装に着替えて一階に降りていった。

 ここは少々高級な宿なので階段を降りてすぐに食堂といった造りではない。

 食堂は目の前のロビーの左奥にあり、どちらかと言うと酒場というよりレストランといった風情だ。


「お客様、御用を承ります」


 オフェーリアが呼ぶ前に姿を現した従業員が恭しく礼をする。

 お高かったお値段なりの接客である。


「軽くお食事をいただきたいの。

 ひとりでも良いかしら?」


「かしこまりました。こちらにどうぞ」


 従業員に案内されたのは、レストラン内でも目立たない場所にあるこじんまりとした席だ。

 まわりの席は夕食にしては遅い時間なのだが、カップルなどでそこそこうまっている。

 どうやらこの宿のレストランは社交場を兼ねているようだ。

 ダンスホールではハープシコードの調べにのって数組の男女がステップを踏んでいる。

 オフェーリアは運ばれてきた前菜をシードルと共に楽しみながら、目まぐるしかった今日のことを回想していた。

 そうして少しぼんやりしていたのだろう。

 その人物が近づいてきていた気配に気づかず、声をかけられてびっくりしてしまう。


「ご一緒してもよろしいですか?」


 そこにいたのは、この宿を紹介してくれた若旦那3人組の一人、チウ・バダムだ。


「まぁ、バダムさん。もちろんよ」


「ひとり寂しく夕食だなんて、呼んでくれればすぐに飛んでくるのに」


 まさかリッポー商会が接待もせずに帰すとは思わなかったのだ。


「もう疲れたからすぐに寝ようと思ったのよ。

 少し横になってよくなったので食事をしようと降りてきたわけ。

 もうストックしてあるサンドイッチで済まそうかとも思ったのだけどね」


 なんとも寂しい考えである。


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