『爺たち2』
「ああ、あの雪の中で花を咲かせるという花のことですか」
どうやら先ほどやって来た爺のうちの一人が何事か思い出したようだ。
「私も伝え聞いただけですが、かなり貴重な素材だと聞いたことがあります。
その時は眉唾ものだと思っていたのですがね」
どうやら現地では、噂の類も含めてそれなりの情報があるようだ。
幸か不幸か、現地は春の訪れが遅れていてギリギリのタイミングで間に合いそうだ。
「フェリア殿、できれば一晩、時をもらえんですかな?
儂は行商の記録をつける癖があって、昔何某か書いた覚えがありますのでの」
「はい、飛竜便の方は予約を保留にしておりますので。
それにちょうどここでは食品などを買い足そうと思っていたので明日は市場に行くつもりでしたし。
どうかよろしくお願いします」
「では私も現在商会にいる従業員に聞いてみましょう」
今ここで顔を合わせている全員が明日も集まることを約束して参会する。
オフェーリアは停留所の近くではなく町中に宿を取ることにした。
リッポー親子からの夕食の誘いを断って、オフェーリアが今宵の宿から転移してやって来たのは炭鉱都市マゲンヌだ。
ここの冒険者ギルドに依頼の進捗やグムリの様子などを確かめに来たのだ。
そしてオフェーリアは残念な情報を得ることになる。
「亡くなっていた?」
「はい、この依頼を受けた冒険者たちはかなり頑張って探してくれたんです。
その結果、以前住んでいた家や教会で墓まで見つけてきまして。
元冒険者ベンゲナム・テリイットの死亡を確認し、遺品の捜索もしたようですが、何分10年以上も前のことですので」
この依頼はベンゲナム・テリイットの死亡が確認されたということで終了した。
「そう、ね。
残念だけど仕方ないわね。
人は私たちと違って、その与えられた時間が短いものね。
わかったわ、どうもありがとう。
それと頑張って調べてくれた冒険者さんにこれを」
オフェーリアは追加の報酬として金貨を一枚渡すことにしたのだ。
「これは!
いや、どうも。連中が喜びます」
「次にグムリ殿のことですが、何か聞いてられます?」