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『詰所に連行?』

「大丈夫かー?!」


 もう一人叫びながら近づいてきて、オフェーリアは二人の兵士に取り囲まれる事になった。


「何事ですか?」


 身長が148cmしかない、極端に身長差があるオフェーリアが二人の兵士を見上げると、彼らに門の方へと誘われた。


「お嬢さん……でいいんだよな?」


 濃い草色のローブをフードも目深にかぶった姿は、その性別を声で探るしかないが、今のオフェーリアはどちらにも取れる姿であった。


「はい、一応……」


 心なしか距離が近くなった気がする。

 まるでいたずらをした子供が連行されているような図である。



「それであんたはどこから、どうやってここまで来たんだ?」


 いきなり本題に入った。

 実はオフェーリアは、この町はサクラメント侯爵家に輿入れする際に立ち寄ったことがあるだけで、当時は興味がなく一泊したのち、ほぼ素通りした町だった。

 なので一行の馬車がどこをどう通ったのかさっぱりわからないのだ。

 思わずオフェーリアの目が泳いでしまう。


「あの、わたし。

 素材を採取しながらあまり街道を通らずにきたので、よくわからないのですけど……

 えっと、何かあったんですか?」


 兵士たちがお互いの顔を見合わせて、またオフェーリアに視線を戻した。

 彼女は極端に背が低くて、体格の良い兵士用に作られた椅子はギリギリ爪先がつく程度、テーブルに至っては肩より上しか出ていない。

 どう見ても不審者には見えないが、その話はとても信じられない。


「あのな、せめてどこからやってきたか教えてくれるかな?」


「あの」


 オフェーリアは困り果ててしまう。

 しばらく考えてそして以前の老婆の教えを思い出した。

 そしてゆっくりとフードを取ると、都を出て初めてその姿を晒した。


「エルフ!」


 尖った耳、淡い金色の髪、そして鮮やかな紫色の瞳。

 彼らが初めて見たエルフは話に聞く通りの姿をしていた。

 そして、エルフが町に現れるのは非常に珍しい。

 ここに現れるのも何十年ぶりだろうか。

 ちなみに半年前にオフェーリアがこの町に滞在した時はもう、姿変えの魔法で平凡な容姿の人間に変化していたので騒ぎにはならなかったのだ。

 そして困った時はエルフに“変化”して相手を煙に巻くよう忠告されていた。

 だから相手は思い通りの反応をしてくれたようだ。



 エルフとは魔法族の下位種族と言われ、魔法は使えないが魔力はあると言われていて、効能の高い薬を作ったり、弓矢の命中率が高いと言われている種族である。

 彼らは魔法族に仕えるほか、小さな集団で村を作って暮らしている事が多い。

 そんな彼らが人里に姿を現すのは薬草や薬、細工物などを売りにくるほかは滅多にないのだ。


「一族のものと森の中で別れたので、よくわかりません」


 これでゴリ押しするしかない。


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