『宴会2』
山のように盛られた揚げたてのから揚げ。
2つの魔導コンロ、2つの鍋で揚げられていくのを一時マティアスに任せ、オフェーリアは出来上がった具沢山スープを傭兵たちが個々に出した皿に注いでいく。
ダグルが魔導オーブンで温めた黒パンを適度な厚さにカットしている。それを【ぼくちゃん】がカゴに入れてテーブルのあちこちに運んでいた。
次にドンとテーブルに置かれたのは特大ボウルに入った“ポテトサラダ”だ。
これも定番の玉子サラダやハムサラダ、新玉ねぎのスライスを入れたものも用意していて、それを置いて回るのは“親衛隊”のひとりだ。
……親衛隊とは実質的にダグルが指揮する、【ぼくちゃん】のため、【ぼくちゃん】を守るための隊だ。
彼らの何人かは常に【ぼくちゃん】と行動を共にする(オフェーリアとマティアスがいっしょの場合は遠慮する)、【ぼくちゃん】が信頼しているものたちだ。
「今日はよく食べそうな連中が多いので色々出しちゃおうかな」
時間がある時に作り溜めてきた肉団子の素揚げにはグレイビーソースをたっぷりとかけて親衛隊のひとりに渡していく。
そして今夜はエールを出すので大人の味のレバーソーセージやブラッドソーセージも出すことにした。
あとは皆の食欲を見て……追加を考えることにする。
オフェーリアがエールの樽を出すと歓声が上がった。
すぐに注ぎ口が差し込まれ、ダグルが次々とジョッキに注いでいく。
それを見てまた歓声をあげる傭兵たち。
もう音頭取りもなくそれぞれが乾杯してなし崩し的に宴会は始まった。
「何か、あっという間に減っていくね」
傭兵たちの食欲を侮っていたオフェーリアは腹持ちするものを追加することにする。




