『お迎え』
ダンジョンの浅層はすっかり変わりつつあった。
第一層は元々ほとんど魔獣が出没することがなく、今は魔導ランプで煌々と照らされてダンジョンの中とは思えなくなっている。
そして第二層だがここには結界の中とはいえ、売店兼休憩所ができている。
冒険者が本格的に魔獣と対峙するのは第三層からとなっており、【ぼくちゃん】一行も第四層まで降りているようだ。
「ふふ、懐かしい?」
「ああ、そして今は幸せだ」
人は言葉にしないと思いは伝わらない。
それは魔法族や竜神族にも当てはまって、特にマティアスは頻繁に想いを伝えていた。
「うん、私もこんな未来があるとはおもわなかったよ」
しばしよい雰囲気になっていたふたりは【ぼくちゃん】一行を探しながら進んでいく。思えばこの道も最初は獣道ともいえないほどの単に下草が踏まれて倒れているだけのものだった。
今はきれいに草は刈られ真っ直ぐ次の階層への階段に向かっている。
「あれ?【ぼくちゃん】たちは道から外れて動いているようね。
どうしようか、私たちも一行に向かっていくか、それとも階段まで戻って待ってようか」
「迎えに行ってやろう。
あいつは昨夜もさびしそうにしていた。
フェリアの姿を見たら喜ぶ」
「うん、そうだね」
ふたりは道を外れ見晴らしのよい草原を歩いていった。
「ん?」
ふたりが【ぼくちゃん】を驚かせるのを楽しみにしながら歩いていたときだ。
「何だ?どうかしたのか?」
オフェーリアは探査をかけて【ぼくちゃん】たちの現在位置を確認していたのだが。
少しの違和感が不審感となって頭をもたげる。
「ねえ【ぼくちゃん】たちは何人で行ったの?
……30人とかじゃないよね?」
オフェーリアの探査ではひと所に32の反応がある。
「いや、ダグルと親衛隊の一部、5〜6人だったか」
それを聞いたオフェーリアの表情が引き攣り、そしてふわりと浮き上がった。
「先に行くわ!!」




