『それからのあれこれ』
「あ〜あ」
オフェーリアは昨夜のことを思い出しながら伸びをした。
ビドーの町は張られた結界の中に籠城したものは、外を警戒する兵士以外はいつもと変わりない生活を送っているように見えるが、ピリピリした空気は感じていている。
大学院ではなるべくいつもと同じように授業していたが、どこかソワソワしている。
一応様子を見にきたのだが、しばらくは動きはなさそうだ。
「フェリア様【ツブネラアロン】について書かれた書物を一冊ですが探してきました。
これには採取できる地域などが記されているようです。
このようなものでお役に立てればと思いまして」
「本当?どうもありがとう!」
今しがたまでぼんやりとしていた瞳が輝き、オフェーリアに元気が戻って来た。
「学院内も落ち着いてきております。
さらなる情報を集めておきますのでまた足をお運びください」
オフェーリアの張った結界は物理的には人が破壊できるものではない。
それにその状態を維持できるのは3ヶ月をくだらないのだ。いくらなんでもそこまで暴徒が攻撃を続けるのは無理だろう。
オフェーリアはアグジェントに礼を言って、またすぐに来ることを約束して転移して行った。
ひとり残されたアグジェントは寂しそうにしていたが、オフェーリアの恩に報いるためにまたその足を図書館に向けるのだった。
「グムリ、黄昏てどうしたの?」
「フェリア!?
聞いてくれるか?今になってあの火竜を買い取れないかもしれないなんて言い出したんだ!」
「え?何で?」
「金だよ!
金がなくて支払いに足らないって言うんだ」
実はオフェーリアにとって金額は問題ではない。
半ば賄賂?としてこの町の冒険者ギルドに火竜を売ったと言う事実が残ればいいのだ。




